経費精算システムで、紙とExcelの何がなくなるか

経費精算システムは、従業員が立て替えた経費の申請・承認・支払い・仕訳をまとめて扱うシステムです。紙の申請書やExcelで回している会社が移すと、主に次の3つの作業が減ります。

作業紙・Excel経費精算システム
明細の入力領収書を見て日付・金額・支払先を手で書く領収書の画像、ICカードの履歴、カードの利用明細から取り込む
承認申請書を回覧し、押印やメールで承認するスマホやPCで承認し、記録が残る
経理処理承認済みの申請を会計ソフトと振込に転記する仕訳データや振込データを出力する

この3つのうち、費用の差が出やすいのは明細の入力です。領収書の読み取り・ICカードの取り込み・法人カードの連携が標準機能か有料オプションかは、サービスによって分かれます。料金を比べるときは、月額と一緒にこの3点を確認します。

承認と経理処理は、どのサービスも基本の機能として持っています。差が出るのは、承認経路を金額や部署で分けられるか、使っている会計ソフトに合わせた形式で仕訳を出せるかです。

料金の仕組みは3通り:人数で払うか、件数で払うか

経費精算システムの料金は、大きく3つの仕組みに分かれます。

料金の仕組み払う額の決まり方この記事で比べるサービス
1人あたりの月額使う人数×単価。最低利用料金があることが多いジョブカン経費精算
基本料金+従量決まった基本料金に、人数や証憑の件数に応じた額を足すマネーフォワード クラウド経費・freee支出管理・TOKIUM経費精算
見積もり(料金表は請求制)人数・オプションに応じて個別に案内される楽楽精算・バクラク経費精算

1人あたりの月額は、人数が少ないうちは最低利用料金が効き、人数が増えるほど単価どおりに伸びます。基本料金+従量は、基本料金に含まれる人数までは定額です。TOKIUM経費精算のように、人数ではなく証憑(領収書など)の件数で課金するサービスもあります。

見積もり型のサービスは、公式サイトで下限の金額だけを示し、詳しい料金表をフォームから請求する形になっています。人数に応じた月額は、問い合わせるまで分かりません。

同じ「1人あたり」でも、数える人の範囲が違う点にも注意します。ジョブカン経費精算は、月末時点で登録されているユーザー数で請求します。マネーフォワード クラウド経費は、その月に経費の登録や申請をしたユーザー(アクティブユーザー)だけが従量課金の対象です。ただし管理者と承認者は、操作しない月も対象に数えます。

主要6サービスの料金と機能の比較

主要6サービスの料金と、入力を減らす機能、電子帳簿保存法への対応をまとめました。

サービス初期費用月額(税抜)電子帳簿保存法ICカード・法人カード無料のお試し
楽楽精算100,000円(税抜)30,000円から。人数とオプションで変わり、詳細は料金表を請求対応(タイムスタンプ付与など)ICカードはオプション。コーポレートカードと連携無料トライアル・デモあり
マネーフォワード クラウド経費0円年払い6,480円(5名含む)。6名以上は1名500円コーポレートプラン(1名200円)以上ICカードは基本料金内。コーポレートカードはコーポレートプラン以上1か月
freee支出管理
経費精算
記載なし年払い7,500円+1人650円(月10IDの場合)対応法人カード「freeeカード Unlimited」と連携料金ページに記載なし
ジョブカン経費精算0円1ユーザー400円。最低5,000円対応。タイムスタンプは1ユーザー100円のオプションICカード読み取り・コーポレートカード連携30日間
TOKIUM経費精算あり(金額の記載なし)基本利用料1万円から+証憑件数の従量。税込・税抜の記載なしJIIMA認証取得。タイムスタンプは標準交通系ICカード・コーポレートカードと連携料金ページに記載なし
バクラク経費精算非公開非公開(料金表をダウンロードで案内)JIIMA認証2種を取得交通系ICカード読み取り・法人カード連携申し込みの案内あり(期間の記載なし)

出典:楽楽精算(料金・よくあるご質問)/マネーフォワード クラウド経費(料金)/freee支出管理(freee経費精算の料金プラン)/ジョブカン経費精算(プラン・料金・よくある質問)/TOKIUM経費精算(料金・外部サービス連携)/バクラク経費精算(料金)

2026年10月27日時点の公式ページの記載です。楽楽精算・マネーフォワード クラウド経費・freee支出管理・ジョブカン経費精算は、表示価格を税抜としています。TOKIUM経費精算の料金ページには、税込か税抜かの記載がありません。マネーフォワード クラウド経費は、2027年6月に料金体系の一部改定を予定していると告知しています。料金は改定されることがあるため、契約前に公式ページで確認してください。

結論

迷ったら、料金を公開しているジョブカン経費精算とマネーフォワード クラウド経費の2つから試すのが近道です。どちらも初期費用が0円で、無料のお試し期間があり、人数を入れればその場で月額が出ます。電子帳簿保存法の機能まで含めた月額は、5人・20人・50人のどの人数でもジョブカン経費精算のほうが低くなります。会計や請求書もまとめてマネーフォワード クラウドに寄せるなら、基本料金にそれらが含まれる点でマネーフォワード クラウド経費が候補になります。

導入の支援を手厚く受けたい場合や、領収書の原本の保管まで外に任せたい場合は、見積もり型の楽楽精算・TOKIUM経費精算・バクラク経費精算に料金表を請求して比べます。

楽楽精算:初期費用10万円、月額3万円から

楽楽精算は、初期費用100,000円と月額費用30,000円から(いずれも税抜)の料金体系です。月額は利用する従業員数とオプションで変わり、プランごとの費用は料金表をフォームから請求して確認します。専任の担当者が運用開始まで導入を支援すると案内しています。

1年目の費用は、下限の金額で計算しても460,000円(税抜)です。この記事で比べる中では初期費用と月額の下限が最も高いので、導入支援まで含めて任せたい会社に向いています。交通系ICカードの取り込みはオプションで、コーポレートカードはUC・りそな・三井住友・三菱UFJなどとの連携をFAQで案内しています。

マネーフォワード クラウド経費:5名までは定額、電子帳簿保存法はオプション

マネーフォワード クラウド経費の料金は、マネーフォワード クラウドの基本料金に含まれます。年払いの月額(税抜)は、1名のひとり法人プランが2,480円です。3名までのスモールビジネスプランは4,480円、ビジネスプランは6,480円です。6名以上使えるのはビジネスプランだけで、6人目から1名につき月500円が加わります。目安は従業員50名以下で、51名以上は見積もりです。

注意したいのは機能の範囲です。電子帳簿保存法機能とコーポレートカード連携は、基本料金のチームプランでは使えません。使うにはコーポレートプラン(1名月200円、最低5アカウント・月1,000円)が必要です。一方、ICカードからの交通費入力と、クレジットカードなどの明細の自動取得は基本料金の範囲です。基本料金には、会計・請求書など12のサービスも含まれます。

freee支出管理 経費精算:基本料金+1人あたり

freee支出管理の経費精算(ワークフロー機能付)は、年払いで基本料金が月7,500円、従量課金が1人あたり月650円(税抜)です。650円は月10IDの場合の単価で、IDが多い場合の単価も注記されています。ただし公式ページの注記だけでは、何IDからどの単価になるかを確定できません。そのためこの記事では、人数別の計算には入れていません。

freeeの法人カード「freeeカード Unlimited」と組み合わせると、経費精算の基本料金相当額がポイントで還元されるキャンペーンが案内されています(月払いプランが対象)。freee会計を使っている会社なら、候補に入れて見積もりを取る価値があります。

ジョブカン経費精算:1ユーザー400円、最低5,000円

ジョブカン経費精算は、1ユーザー月400円(税抜)です。初期費用・サポート費用・月額固定費はかからず、最低利用料金は月5,000円です。月末に登録されているユーザー数で請求額が決まり、最低利用期間はありません。

12人までは、最低利用料金の5,000円で収まります(400円×12人で4,800円)。領収書のスキャナ保存にタイムスタンプを付けるオプションは1ユーザー月100円、AI-OCRオプションも1ユーザー月100円です。ICカードの読み取りとコーポレートカード連携は、機能一覧に載っています。

TOKIUM経費精算:人数ではなく件数で払う

TOKIUM経費精算は、初期費用と月1万円からの基本利用料に、証憑の件数に応じた従量課金を足す料金体系です。アカウント数は無制限で、利用人数が増えても追加料金はかかりません。初期費用の金額と従量課金の単価は、料金表のダウンロードで案内されています。

追加費用なしで、紙の領収書のスキャン代行と原本の保管を任せられるのが特徴です。JIIMA認証(電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証)を取得しており、タイムスタンプは標準で付きます。従業員は多いが1人あたりの申請は少ない、という会社では人数課金より有利になる場合があります。

バクラク経費精算:料金は資料請求

バクラク経費精算は、公式サイトに料金を掲載しておらず、料金表をダウンロードして確認する形です。JIIMAの電子取引ソフト法的要件認証と電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証の2つを取得しています。交通系ICカードの読み取りと、JCB・UC・三井住友などのコーポレートカード連携を案内しています。

従業員5人・20人・50人の月額:公式料金で計算できる2サービス

公式ページの料金だけで人数別の月額を計算できるのは、ジョブカン経費精算とマネーフォワード クラウド経費の2つです。全員が毎月経費を申請する前提で計算しました。金額はすべて税抜です。

サービス・構成5人20人50人
ジョブカン経費精算
標準
5,000円8,000円20,000円
ジョブカン経費精算
+タイムスタンプ
5,500円10,000円25,000円
マネーフォワード クラウド経費
年払い・チームプラン
6,480円13,980円28,980円
マネーフォワード クラウド経費
年払い・コーポレートプラン
7,480円17,980円38,980円

計算の条件は次のとおりです。

  • ジョブカン経費精算:400円×人数。月5,000円を下回る場合は5,000円。タイムスタンプは100円×人数を足した。最低利用料金にオプションが含まれるかは記載がないため、最低利用料金の外に足している
  • マネーフォワード クラウド経費:ビジネスプランの年払い6,480円に、6人目から1名500円を足した。コーポレートプランは200円×人数を足した(5人の場合は最低料金の1,000円)
  • 初期費用はどちらも0円。年額はそれぞれ月額の12倍

年額にすると、電子帳簿保存法の機能を含めた構成で、ジョブカン経費精算は5人66,000円・20人120,000円・50人300,000円です。マネーフォワード クラウド経費は5人89,760円・20人215,760円・50人467,760円です。マネーフォワード クラウド経費を月払いにすると、ビジネスプランの基本料金は7,980円になり、どの人数でも月1,500円上がります。

電子帳簿保存法の機能を含めた人数別の月額税抜の月額。ジョブカン経費精算にタイムスタンプを足した場合は5人5,500円、20人10,000円、50人25,000円。マネーフォワード クラウド経費の年払いにコーポレートプランを足した場合は5人7,480円、20人17,980円、50人38,980円。電帳法の機能まで含めた月額(税抜)濃い棒がジョブカン、薄い棒がマネーフォワード従業員5人5,500円7,480円従業員20人10,000円17,980円従業員50人25,000円38,980円ジョブカンはタイムスタンプ(1人100円)込みマネーフォワードは年払い・コーポレートプラン込み

差は人数が増えるほど開きます。電子帳簿保存法の機能を含めた月額の差は、5人で1,980円です。20人では7,980円、50人では13,980円まで広がります。1人あたりの上乗せが、ジョブカン経費精算はタイムスタンプ込みで500円、マネーフォワード クラウド経費はコーポレートプラン込みで700円になるためです。

ただし、この表は経費精算だけを比べています。マネーフォワード クラウド経費の基本料金には、会計や請求書のサービスも含まれます。会計ソフトや請求書発行のソフトを別に契約しているなら、その分を差し引いて比べます。

電子帳簿保存法:経費精算システムで確認すること

電子帳簿保存法のうち、経費精算に関わるのは「電子取引」と「スキャナ保存」の2つです。国税庁は、2つを次のように説明しています。

制度対象義務か選択か
電子取引メールやWebサイトなど、電子的に受け取った領収書や請求書のデータ法人税・所得税の保存義務者は、データを保存しなければならない
スキャナ保存紙で受け取った領収書などをスキャンした画像一定の要件の下で、紙の原本の保存に代えることができる

出典:国税庁(電子帳簿保存法の概要)

電子取引のデータは、経費精算システムを使うかどうかに関係なく保存が必要です。ネット通販で買った備品の領収書をPDFで受け取った場合などが当たります。経費精算システムに取り込んで保存できれば、別の保管場所を用意しなくて済みます。

スキャナ保存は選べる制度です。紙の領収書をスマホで撮影して原本を捨てたい場合に、要件を満たしたシステムを使います。紙の原本をそのまま保管するなら、スキャナ保存の機能は必須ではありません。

この違いが、料金の差にも出ます。マネーフォワード クラウド経費は電子帳簿保存法機能がコーポレートプラン以上です。ジョブカン経費精算は、スキャナ保存に対応した形式で残すタイムスタンプがオプションです。TOKIUM経費精算は、タイムスタンプを標準で付けると案内しています。要件の細かい内容は改正されることがあるため、国税庁のページで最新の情報を確認してください。

ICカードと法人カードの連携で、入力をどこまで減らせるか

経費精算の手入力が最も多いのは、交通費とカード払いの経費です。この2つを連携で取り込めるかどうかで、申請者の手間が大きく変わります。

交通費は、交通系ICカードの乗車履歴を読み取って明細にする方法が一般的です。ジョブカン経費精算は、ICカードリーダーで読み取る方法に加えて、スマホのアプリで履歴を送る方法を案内しています。TOKIUM経費精算は、モバイルSuicaとの自動連携にも対応しています。定期券の区間を登録して、運賃から控除できるサービスもあります。

カード払いの経費は、法人カード(コーポレートカード)の利用明細を取り込むと、日付と金額を手で入れずに済みます。会社がすでに使っている法人カードが連携の対象かは、サービスごとに確認します。楽楽精算とバクラク経費精算は、連携できるカード会社の名前を公式サイトで挙げています。

連携が標準機能か有料かも確認します。マネーフォワード クラウド経費は、ICカードからの入力は基本料金の範囲ですが、コーポレートカード連携はコーポレートプラン以上です。楽楽精算のICカード連携はオプションです。

無料で使える経費精算システムはあるか

この記事で比べた6サービスには、経費精算を期間の制限なく無料で使えるプランはありません。そのかわり、多くのサービスに無料のお試し期間があります。

  • ジョブカン経費精算:30日間の無料お試し。最低利用期間はなく、続けない場合はすぐ解約できる
  • マネーフォワード クラウド経費:1か月の無料トライアル。クレジットカードの登録は不要で、終了後に有料プランへ自動で移ることはない
  • 楽楽精算:無料トライアルと、訪問・オンラインのデモ

1人で会社を回している場合は、マネーフォワード クラウドのひとり法人プラン(年払いで月2,480円・税抜)が最も低い固定費です。ただし利用者が1名の場合に限られます。従業員が増えたら、プランを変える必要があります。

お試し期間は、画面を眺めるだけで終わらせないことが大切です。実際の領収書で申請から仕訳の出力まで一度通すと、承認経路や勘定科目の設定が自社に合うかが分かります。

紙・Excelから経費精算システムに移す手順

導入でつまずきやすいのは、システムの設定より社内のルールです。次の順に進めると、移行後の差し戻しを減らせます。

  1. 今の経費の種類と件数を数える

    交通費・出張費・接待交際費・備品など、毎月の申請の種類と件数を洗い出します。人数課金と件数課金のどちらが有利かは、この数字で決まります。

  2. 経費精算の規程と承認経路を決める

    誰がいくらまで承認するか、領収書のない経費をどう扱うかを先に決めます。システムに設定するのはこのルールです。

  3. 勘定科目と会計ソフトの連携を確認する

    使っている会計ソフトに仕訳データを取り込める形式で出力できるかを、お試し期間中に確かめます。

  4. 電子帳簿保存法の運用を決める

    紙の原本を捨てるか保管するかを決めます。捨てるなら、スキャナ保存の要件に対応した機能とオプションが必要です。

  5. 一部の部署で先に使い、全社に広げる

    申請の多い部署で1か月使い、入力の迷いや差し戻しの理由を集めてから全社に広げます。

Excelの申請書は、移行が終わるまで並行して残すことがあります。ただし並行期間が長いと、どちらに申請したかが分からなくなります。切り替える月を決めて、従業員に事前に知らせておきます。

経費精算システムを選ぶときのチェックリスト

最後に、比べるときに確認する項目をまとめます。

経費精算システムの確認項目

  • 料金の仕組み(1人あたり・基本料金+従量・見積もり)と、最低利用料金
  • 初期費用と、導入支援が有料か無料か
  • 課金の対象が登録ユーザーか、その月に使った人か。承認者や管理者も数えるか
  • 電子帳簿保存法の機能が標準か、オプションか
  • 交通系ICカードと、今使っている法人カードを連携できるか
  • 使っている会計ソフトに仕訳データを渡せるか
  • 金額や部署で承認経路を分けられるか
  • 無料のお試し期間の長さと、終了後に自動で有料になるか
  • 料金に税が含まれるか(税込・税抜の表記)

料金を公開しているサービスは、人数を入れて月額を出し、お試しで操作を確かめられます。見積もり型のサービスは、導入支援や原本の保管代行など、料金に含まれる範囲を確認してから比べます。どちらの場合も、電子帳簿保存法の機能まで含めた金額で比べると、契約後に費用が増えることを避けられます。