在庫管理システムが必要になるのは、同じ在庫を2つ以上の店で売るとき

ネットショップの在庫管理でいちばん困るのは、在庫がないのに注文を受けてしまう売り越しです。売り越しは、同じ在庫を複数の店で売っているときに起きます。

自社サイトだけで売っているなら、在庫数はカートの中に1つしかありません。注文が入ればカートが在庫を1つ減らし、0になれば売り切れと表示します。この段階では、カートの在庫機能で足ります。

楽天やAmazonにも出店すると、在庫数が店の数だけ存在するようになります。自社サイトで1つ売れても、楽天とAmazonの在庫数は減りません。誰かが手で書き換えるまで、売れた商品が他の店で売れ続けます。

在庫管理システムを入れる理由は、この書き換えを自動にすることです。どこかの店で売れたら、他のすべての店の在庫数を同じ数に直します。販路を増やした事業者が探しているのは、この機能を持つシステムです。

在庫管理システムには型がある

「在庫管理システム」という言葉は、目的の違うシステムをまとめて指しています。ネットショップの事業者に関係するのは、次の3つの型です。

型何をするかこの記事で比べるサービス
一元管理型複数の店の受注をまとめ、在庫数を自動でそろえるネクストエンジン・クロスモール
在庫を数える型入庫・出庫・棚卸を記録し、手元の在庫を正しく数えるzaico
倉庫・出荷型入荷から出荷までの倉庫の作業と在庫を管理するロジクラ

販路を増やして在庫数の書き換えに困っているなら、最初に検討するのは一元管理型です。在庫を数える型と倉庫・出荷型は、店の在庫数をそろえる機能が主役ではありません。一元管理型とつないで使う前提のものもあります。

カートの在庫機能で足りる段階と、専用システムが要る段階

在庫管理の方法は、売っている店の数と注文の数で変わります。3つの段階に分けると判断しやすくなります。

ネットショップの在庫管理の3段階段階1は自社サイトなど1つのカートだけで売る段階で、カートの在庫機能で足りる。段階2は2つ目の店を出したばかりで注文が少ない段階で、店ごとに在庫を分けて持つか、エクセルで記録して手で書き換える。段階3は同じ在庫を2つ以上の店で売り、手での書き換えが毎日発生する段階で、一元管理型の在庫管理システムで自動でそろえる。販路と注文が増えると、管理の方法が変わる段階11つのカートだけで売る在庫数はカートの中に1つだけ→ カートの在庫機能で足りる段階22つ目の店を出したばかり注文が少なく、手で書き換えが間に合う→ 在庫を店ごとに分けて持つ→ エクセルで記録して手で直す段階3同じ在庫を2つ以上の店で売る書き換えが毎日発生し、売り越しが起きる→ 一元管理型のシステムで  全店の在庫数を自動でそろえる

段階1:カートの在庫機能でできること

1つのカートで売っている段階では、カートの在庫機能で十分です。主要なカートは、サイズや色ごとの在庫数を標準で持てます。

カートカート内の在庫管理モールと在庫をそろえる方法
makeshopバリエーションごとに価格・在庫数・商品コードを設定できる。設定した数を下回ると在庫アラートメールが届く楽天・Amazon・Yahoo!と一元管理できる外部サービスに対応
カラーミーショップオプションごとに在庫を持ち、在庫表を商品ページに出すアプリもあるアプリで連携する。楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングと在庫を連動する「らくらく在庫」や、ネクストエンジン連携がある
Shopify在庫ロケーション(在庫を置く場所)ごとに在庫数を持てる。Basic・Grow・Advancedは10か所、Plusは200か所まで一元管理システムと連携してそろえる(ネクストエンジンは連携アプリが必要)

出典:makeshop(機能一覧)/カラーミーショップ(機能一覧)/Shopify(料金プラン)

3つのカートとも、カートの中の在庫は正しく管理できます。違いが出るのは、楽天やAmazonの在庫とそろえる段階です。どのカートも、在庫をそろえる仕事は外部のシステムやアプリに任せる作りになっています。カートを替えても、モールとの在庫連携の問題は解決しません。

段階2:在庫を分けて持つか、エクセルで手直しする

2つ目の店を出したばかりで注文が少ないうちは、システムを入れずに回す方法が2つあります。

1つ目は、在庫を店ごとに分けて持つ方法です。たとえば在庫が10個なら、自社サイトに6個、楽天に4個と割り振ります。各店の在庫数は別々なので、売り越しは起きません。そのかわり、楽天の分が売り切れても自社サイトの分は残り、売れる機会を逃します。

2つ目は、エクセルなどの表に正しい在庫数を記録し、売れるたびに各店の在庫を手で書き換える方法です。注文が1日に数件なら回ります。ただし、エクセルは在庫数を記録するだけで、各店の在庫を書き換えることはできません。書き換えるまでの間は、売れた商品が他の店に残り続けます。

エクセルから切り替える目安は、次のどれかに当てはまったときです。

エクセルでの管理から切り替える目安

  • 各店の在庫数を手で書き換える作業が、1日に何度も発生している
  • 書き換えが間に合わず、売り越しでキャンセルを出したことがある
  • 在庫を分けて持った結果、一方の店で売り切れ、もう一方で売れ残っている
  • サイズや色の組み合わせが多く、書き換える在庫の単位が多い
  • 在庫の書き換えを担当できる人が1人しかいない

段階3:一元管理型のシステムで自動でそろえる

同じ在庫を2つ以上の店で売り、書き換えが毎日発生するようになったら、一元管理型の在庫管理システムを入れる段階です。在庫の正しい数をシステムが1つ持ち、どこかで売れたら全店の在庫数を自動で直します。

一元管理型の多くは、在庫だけでなく受注もまとめて扱います。各店の注文を1つの画面に集めるので、注文の確認や処理を店ごとの管理画面で行き来する必要がなくなります。

4サービスの料金と在庫連携の比較

ネットショップ向けの在庫管理システムから、料金を公式ページで確認できた4サービスを比べます。

サービス型初期費用月額(税抜)料金が増える条件店の在庫数の自動連携
ネクストエンジン一元管理型0円3,000円から受注が月200件を超えた分の従量課金あり(5分間隔)
クロスモール一元管理型0円10,000円から×店舗数店舗数と商品点数あり(平均5〜10分の遅れ)
zaico在庫を数える型0円0円(無料プラン)、8,980円からプランと利用者数なし(ネクストエンジン経由で連携)
ロジクラ倉庫・出荷型あり(金額は記載なし)16,000円から(年契約)出荷件数と拠点数ShopifyとSTORESに連携。一元管理型とも連携

出典:ネクストエンジン(料金・在庫管理)/クロスモール(料金プラン・在庫管理)/zaico(料金プラン・外部サービス連携)/ロジクラ(料金プラン)

2026年10月29日時点の公式ページの記載です。4サービスとも、料金ページに税抜と明記しています。zaicoのネクストエンジン連携アプリだけは税込で表示されています。料金は改定されることがあるため、契約前に公式ページで確認してください。

ネクストエンジン:受注件数で料金が決まる一元管理型

ネクストエンジンの料金は、基本料金と従量課金の組み合わせです。基本料金は月3,000円で、受注200件まで含まれます。201件目からは、区分ごとに1件あたりの単価がかかります。

月間受注件数1件あたりの単価(税抜)
201〜400件35円
401〜1,000件30円
1,001〜3,000件25円
3,001〜5,000件20円
5,001〜7,000件15円
7,001〜10,000件10円
10,001件以上5円

出典:ネクストエンジン(料金)

単価は区分ごとに計算して足します。公式の例では、月400件で10,000円、月1,000件で28,000円です。店舗数と商品数を増やしても、追加の費用はかかりません。

基本料金と従量課金のほかに、2つの費用があります。1つは年間保守費用で、契約から1年たつと毎年15,000円(税抜)がかかります。もう1つは有料アプリの利用料です。Shopify・カラーミーショップ・BASEなどは、自動連携に連携アプリが必要と対応一覧に書かれています。使うカートの連携アプリの料金も見積もりに入れてください。

在庫は5分間隔で各店と連動します。キャンセルや返品による在庫の増減も反映されます。セット商品の在庫は、単品の在庫数から自動で計算します。

クロスモール:店舗数で料金が決まる一元管理型

クロスモールは、受注件数による課金がない月額固定の料金です。月額は「プランの基本料×店舗数」で決まり、プランは登録できる商品点数で分かれます。

プラン月額(税抜)商品点数
プラン100010,000円×店舗数1,000点まで
プラン300015,000円×店舗数3,000点まで
プラン500020,000円×店舗数5,000点まで
プラン1500025,000円×店舗数15,000点まで

出典:クロスモール(料金プラン)

初期費用は0円です。公式の例では、楽天とYahoo!ショッピングの2店舗をプラン1000で使うと月20,000円になります。同じモールに2店舗目を出した場合も、別の1店舗として数えます。15,000点を超える場合は個別の相談です。

在庫は、注文が入ってから平均5〜10分の遅れで各店に反映されると案内しています。この遅れが気になる商品は、店ごとに在庫を振り分ける設定もできます。

対応カートの一覧には、makeshop・Shopify・BASE・futureshopなどが載っています。カラーミーショップは対応カートの一覧に載っていません(2026年10月29日時点)。一覧にない自社サイトは個別の対応になり、初期設定費は見積もりです。カラーミーショップで売っている場合は、連携できるかを先に問い合わせてください。

zaico:手元の在庫を数える型

zaicoは、スマートフォンでバーコードやQRコードを読み取り、入庫・出庫・棚卸を記録する在庫管理システムです。店の在庫数をそろえるためのシステムではありません。

プラン月額(税抜)利用者数(フル権限/閲覧)
無料0円1名/1名(追加不可)
スターター8,980円3名/10名
ベーシック49,800円10名/10名
プロフェッショナル見積もり見積もり

出典:zaico(料金プラン・外部サービス連携)

ネットショップとの連携は、ネクストエンジンを通して行います。ネクストエンジンの販売データを取り込んで在庫を減らし、zaicoでの入出庫をネクストエンジンの在庫数に反映します。この連携はベーシックプランとプロフェッショナルプランで、別に連携アプリの月額3,300円(税込)がかかります。ネクストエンジン本体の料金も必要です。

zaicoが向いているのは、ネットショップの在庫に加えて、実店舗での販売や展示会への持ち出しなど、現場での在庫の動きが多い場合です。販路を増やして在庫数の書き換えに困っている段階なら、先に一元管理型を検討します。

ロジクラ:入荷から出荷までを管理する倉庫・出荷型

ロジクラは、入荷・在庫・出荷の作業を管理するシステムです。自社で在庫を持ち、自社で出荷する事業者の倉庫の作業に向いています。

プラン月額(税抜)月額に含まれる出荷件数拠点数
Lite16,000円(年契約)/19,000円(月契約)300件まで(301件目から1件25円)1
Premium40,000円(年契約)/49,000円(月契約)2,000件まで(2,001件目から1件10円)2
Enterprise問い合わせ問い合わせ問い合わせ

出典:ロジクラ(料金プラン)

カートはShopifyとSTORESに、一元管理型はクロスモールとネクストエンジンに連携できます。一元管理型やPOSとの連携だけを使う場合は、月額に10,000円が加わります。Premiumは、契約から1年たつと毎年30,000円の年間保守費用がかかります。初期費用は導入時のサポート(オンラインミーティング3回)の費用としてかかりますが、金額は料金ページに書かれていません。

楽天やAmazonの在庫数をそろえるのは、ロジクラではなく、連携先の一元管理型の役目です。販路が3つ以上あるなら、ロジクラだけでは在庫連携は完結しません。倉庫の作業を整えたい段階で、一元管理型と組み合わせて検討するシステムです。

注文数で比べる:ネクストエンジンとクロスモールの月額

一元管理型の2サービスは、料金の決まり方が正反対です。ネクストエンジンは受注件数で増え、クロスモールは店舗数で増えます。自社サイト・楽天・Amazonの3店舗で、商品が1,000点までの場合を計算しました。

月の受注件数ネクストエンジンクロスモール(3店舗)クロスモール(2店舗)
300件6,500円30,000円20,000円
1,000件28,000円30,000円20,000円
3,000件78,000円30,000円20,000円

金額は税抜の月額です。計算の条件は次のとおりです。

  • ネクストエンジン:基本料金3,000円に、区分ごとの従量課金を足した。年間保守費用15,000円と連携アプリの利用料は含めていない
  • クロスモール:プラン1000の10,000円に店舗数を掛けた。受注件数では変わらない
3店舗で売る場合の月額の比較自社サイト・楽天・Amazonの3店舗で商品1,000点までの場合。月300件ではネクストエンジン6,500円、クロスモール30,000円。月1,000件ではネクストエンジン28,000円、クロスモール30,000円。月3,000件ではネクストエンジン78,000円、クロスモール30,000円。いずれも税抜。3店舗で売る場合の月額(税抜)濃い棒がネクストエンジン、薄い棒がクロスモール月300件6,500円30,000円月1,000件28,000円30,000円月3,000件78,000円30,000円月額が逆転するのは約1,080件2店舗なら約730件で逆転する保守費用と連携アプリの利用料は含まない

月額だけで比べると、3店舗では月約1,080件、2店舗では月約730件を超えたところで、クロスモールのほうが安くなります。ネクストエンジンの年間保守費用15,000円を月割りで足すと、逆転するのは3店舗で月約1,030件、2店舗で月約690件です。

販路を増やし始めたばかりで注文が少ない事業者には、受注件数で増えるネクストエンジンの料金体系が合います。注文が多く、店舗の数が少ない事業者には、店舗数で決まるクロスモールが合います。

結論

自社サイトと楽天・Amazonで売り始め、月の注文が1,000件に届かないなら、ネクストエンジンが月額を抑えられます。3店舗で月300件なら6,500円(税抜)です。注文が月1,000件を超えて店舗数が少ないなら、店舗数で決まるクロスモールの月額固定のほうが安くなります。ただしクロスモールは、対応カートの一覧にカラーミーショップがないので、カラーミーショップで売っている場合は先に確認してください。zaicoとロジクラは在庫を数える仕組みや倉庫の作業を整えるもので、一元管理型と組み合わせて使います。

契約前に確認すること

料金と同じくらい差が出るのが、自社の商品と販路で連携が正しく動くかどうかです。導入してから合わないと分かると、商品データの作り直しが必要になります。

商品コードを各店でそろえられるか

一元管理型は、各店の商品を商品コードで結び付けて在庫をそろえます。同じ商品なのに、自社サイトと楽天で商品コードが違うと、在庫を連携できません。

ネクストエンジンは、各店の商品コードがそろっていなくても、条件付きで紐づけて連携できると案内しています。それでも、連携を始める前に各店の商品コードの一覧を出し、同じ商品が同じコードになっているかを確認しておくと切り替えが早く進みます。

アパレルは、サイズと色の組み合わせで在庫の単位が増える

アパレルや靴のように、サイズと色で在庫を分ける商品は、管理する在庫の単位が品番の数よりずっと多くなります。たとえば品番が50で、色が3つ・サイズが4つなら、在庫の単位は600です。

クロスモールのように商品点数で料金が決まるサービスでは、点数を品番で数えるのか、サイズと色の組み合わせで数えるのかで、選ぶプランが変わります。料金ページには数え方の記載がないので、見積もりを取るときに確認してください。

アパレルは、セール時に1つの商品へ注文が集中しやすい商材でもあります。在庫連携の間隔が5分でも、その間に複数の店で同じサイズが売れれば売り越しは起こりえます。残りが少ない商品だけ店ごとに在庫を割り振る設定ができるかも、比較の項目に入れてください。

在庫連携の間隔を前提に、売り越しへの備えを決める

自動連携でも、売れた瞬間に全店の在庫がそろうわけではありません。ネクストエンジンは5分間隔、クロスモールは注文から平均5〜10分の遅れと案内しています。モール側が在庫データを受け取って反映するまでの時間にも左右されます。

在庫が1〜2個しか残っていない商品は、この間に別の店で売れる可能性があります。ネクストエンジンには、在庫が指定数以下になったら指定した店だけで売る設定や、店ごとに割合で在庫を出す設定があります(一部のモール・カートのみ対応)。クロスモールにも、商品ごとに各店への在庫の振り分けを決める機能があります。

使っているカートの連携方法と追加費用

一元管理型の料金ページに載っているのは、本体の料金だけです。カートによっては、連携アプリの利用料が別にかかります。

見積もりで確認すること

  • 使っているカートとモールが、在庫連携の対応一覧に載っているか
  • 連携アプリが必要か。必要ならその月額はいくらか
  • 年間保守費用など、2年目から増える費用があるか
  • 商品点数の数え方(品番か、サイズと色の組み合わせか)
  • 実店舗や倉庫の在庫も同じ数で管理するか。するならPOSや倉庫との連携に費用がかかるか

無料で試せる範囲

4サービスとも、契約前に無料で試せる方法があります。

サービス無料で試せる方法
ネクストエンジン30日間の無料体験。期間中は機能とサポートに制限なし
クロスモール担当者が解説するオンラインデモの無料体験
zaico無料プラン(1名まで)と、スタータープランの30日間無料お試し
ロジクラ14日間、最上位プランを無料で利用できる

出典:ネクストエンジン(トップページ)/クロスモール(オンラインデモ)/zaico(料金プラン)/ロジクラ(料金プラン)

zaicoの無料プランは、利用者が1名までで、ネットショップとの在庫連携には使えません。無料で在庫連携まで試したいなら、ネクストエンジンの30日間の無料体験が使えます。

無料期間には、売れ筋の商品を数点だけ連携し、1つの店で売れたときに他の店の在庫が何分で減るかを確かめてください。キャンセルを出したときに在庫が戻るかも、同じ期間に確認できます。

まとめ

ECの在庫管理システムを選ぶときに確認すること

  • 同じ在庫を2つ以上の店で売っているか。1つのカートだけならカートの在庫機能で足りる
  • 探しているのは一元管理型か、在庫を数える型か、倉庫・出荷型か
  • 月の受注件数と店舗数。3店舗なら月約1,080件を境に、ネクストエンジンとクロスモールの月額が逆転する
  • 使っているカートが対応一覧に載っているか。連携アプリの費用がかかるか
  • 商品点数の数え方と、サイズ・色の組み合わせの数
  • 在庫連携の間隔と、残り少ない商品の売り越しへの備え

ECの在庫管理システムは、販路の数と注文の数で必要になる時期と合う料金体系が決まります。いま売っている店の数と月の受注件数、商品の在庫の単位の数を書き出してから、この記事の表に当てはめて比べてください。