発送代行とは:在庫を倉庫に預けて、注文ごとに発送してもらう仕組み
発送代行は、ネットショップの商品を倉庫に預け、注文が入るたびに倉庫が梱包して発送するサービスです。自分で行うのは、商品を倉庫へ送ることと、注文の情報を倉庫に渡すことだけになります。
注文の情報は、カートと倉庫のシステムをつないで自動で渡すのが一般的です。つながっていれば、注文が入った時点で倉庫に出荷の指示が届きます。購入者から見ると、ショップが自分で送った場合と同じように荷物が届きます。
任せられる作業
発送代行に任せられるのは、商品が倉庫に入ってから購入者に届くまでの作業です。
| 作業 | 内容 |
|---|---|
| 入庫・検品 | 届いた商品の数を数え、外装に傷や汚れがないかを確かめて在庫として登録する |
| 保管 | 商品を棚に置き、在庫数を管理する |
| ピッキング | 注文が入った商品を棚から取り出す |
| 梱包 | 箱や袋に詰め、緩衝材を入れて送り状を貼る |
| 出荷 | 運送会社に荷物を引き渡す |
この5つのうち、自分で発送しているときに時間を取られるのは、ピッキングから出荷までの3つです。毎日の注文に比例して増えるので、件数が増えるほど負担が大きくなります。
フルフィルメント・3PLとの違い
似た言葉にフルフィルメントと3PLがあります。フルフィルメントは、発送に加えて受注処理や問い合わせ対応、決済の管理まで含めて任せる形を指すことが多い言葉です。3PLは、物流の業務を外部の会社にまとめて任せること全般を指します。
ネットショップの運営者が「発送代行」と言うときは、保管から出荷までを任せる形を指すことがほとんどです。この記事もその意味で使います。
AmazonのFBAとの違い
FBAは、Amazonが運営する発送の仕組みです。Amazonに出品した商品をAmazonの倉庫に預け、売れるとAmazonが発送します。自社サイトの注文を倉庫から送りたい場合は、カートとつながる発送代行を探すことになります。
発送代行のサービスの中には、FBAの倉庫へ商品を納品する作業を代行するものもあります。STOCKCREWは、FBA納品の代行を料金表に載せています。
DMや請求書の発送代行は別のサービス
「発送代行」は、ダイレクトメールや請求書を印刷して郵送するサービスの名前としても使われます。こちらは紙の印刷と封入が中心で、商品の在庫は預かりません。この記事で扱うのは、ネットショップの商品を預けて発送してもらうサービスです。
発送代行のメリットとデメリット
メリット
- 梱包と発送の時間がなくなり、注文が増えても作業時間が増えない
- 自宅や事務所に在庫を置く場所が要らなくなる
- 箱や緩衝材を自分で買って保管する必要がなくなる
- 全国一律の料金なら、遠方宛ての送料が上がらない
デメリット
- ラッピングや手書きのカードなど、個別の対応に制限がある
- 売れない在庫にも保管料がかかり続ける
- 在庫が手元にないので、撮影や検品は倉庫へ送る前に済ませる必要がある
- 投函サイズの商品は、自分で送るより1件あたりの費用が上がる
メリットの大きさは、注文数と商品の大きさで変わります。注文数が多いほど浮く時間が増え、商品が大きいほど送料の差で得をします。デメリットのうち、個別対応の制限は委託先によって差が大きい部分です。どこまで対応するかは、後の章で具体的に比べます。
料金の仕組み:送料込みの発送料に、入庫料と保管料が加わる
発送代行の料金は、次の3つで決まります。
| 料金 | 何に対してかかるか | 金額を決めるもの |
|---|---|---|
| 入庫料 | 商品を倉庫に預けたとき | 預けた点数や箱の数 |
| 保管料 | 商品を倉庫に置いている間 | 商品の体積や箱の数と、置いている日数 |
| 発送料 | 注文ごとに発送したとき | 梱包後のサイズ |
小ロット向けのサービスでは、発送料に梱包の作業費・資材費・送料がまとめて含まれていることが多くあります。箱代や緩衝材を別に買う必要がなく、1件ずつの費用が読みやすい料金体系です。
このほかに、チラシの同梱やギフトラッピングなどの追加作業はオプション料金になります。初期費用と月額の固定費は、0円のサービスと、見積もりで決まるサービスがあります。
料金表を公開している2社の料金
個人や小ロットでも使えて、料金表を公式サイトで公開している2社の料金を並べます。
| サービス | 初期費用・月額 | 入庫料 | 保管料 | 発送料(投函サイズ) | 発送料(60サイズ) |
|---|---|---|---|---|---|
| STOCKCREW | 0円 | 1点10円 | 体積1,000立方センチあたり月20円(日割り) | 260円 | 520円(箱)/510円(袋) |
| KOMPO | 0円 | 1箱200ポイント+1点10ポイント | 30日以内は無料。31日以上は30日ごとに1箱500ポイント | 300ポイント | 660ポイント |
2026年11月5日時点の公式ページの記載です。STOCKCREWは税抜の金額で、税込は1.1倍です。発送料は全国一律で、北海道・沖縄・離島も同じ料金です。KOMPOは1ポイント1円のポイントを前払いで買う方式で、料金ページには税の扱いの記載がありません。KOMPOの60サイズ以上の料金は、沖縄・離島を除いた金額です。料金は改定されることがあるため、契約前に公式ページで確認してください。
月50件で計算:自分で発送する場合といくら違うか
発送代行を検討するときにいちばん知りたいのは、自分で送るより高くなるのか、安くなるのかです。答えは商品の大きさで逆になります。月50件、1注文1点の条件で計算します。
箱で送る商品(60サイズ)は、代行のほうが安くなる
自分で送る場合は、ヤマト運輸の宅急便を営業所やコンビニに持ち込む前提にします。関東から送る60サイズの運賃は、関東宛てで940円、九州宛てで1,460円です(税込・現金払い)。持ち込むと1個100円引きになるので、840円と1,360円です。
発送代行は、在庫を常に100点置いておく前提にします。商品の大きさは20×15×10センチ(3,000立方センチ)とします。
| 送り方 | 月の費用 | 1件あたり | 含まれないもの |
|---|---|---|---|
| 自分で送る(関東宛て) | 42,000円 | 840円 | 箱・緩衝材の代金、梱包と持ち込みの時間 |
| 自分で送る(九州宛て) | 68,000円 | 1,360円 | 同上 |
| STOCKCREW | 35,750円(税込) | 715円 | 倉庫へ商品を送る送料 |
| KOMPO | 33,900ポイント | 678ポイント | 倉庫へ商品を送る送料 |
STOCKCREWは、発送料520円×50件、入庫料10円×50点、保管料6,000円(300×20円)の合計32,500円に消費税を加えた金額です。KOMPOは、発送料660ポイント×50件に、2箱で50点を納品した納品料900ポイントを加えた金額です。30日以内に出荷し終える前提で、保管料は0にしています。
自分で送る場合は、箱と緩衝材の代金がさらに加わります。60サイズの箱なら、梱包の手間を外したうえで1件あたりの費用も下がる計算です。STOCKCREWの発送料は全国一律なので、遠方宛ての注文が多いほど差が広がります。
投函サイズの商品は、自分で送るほうが安い
薄い商品をポストに投函する形で送る場合は、結論が逆になります。自分で送る運賃はクリックポストの240円(税込)です。商品の大きさは25×20×2センチ(1,000立方センチ)、在庫は100点とします。
STOCKCREWは、発送料260円×50件、入庫料10円×50点、保管料2,000円(100×20円)の合計15,500円に消費税を加えた金額です。KOMPOは、発送料300ポイント×50件に、1箱で50点を納品した納品料700ポイントを加えた金額です。
投函サイズは運賃そのものが安いので、代行の発送料が運賃を上回ります。月50件なら、差額は3,700〜5,050円です。この差額で梱包と投函の時間を買うかどうかが判断の軸になります。
出典:ヤマト運輸(宅急便運賃一覧)/日本郵便(クリックポスト)
ヤマト運輸の運賃とクリックポストの運賃は、2026年11月5日時点の公式ページの金額です。クリックポストの運賃は、2026年10月1日に185円から240円に改定されました。運送会社と法人契約を結んでいる場合は、運賃が上の表より安くなります。
注文が少ないうちは、保管料の重みが増す
保管料は、注文数ではなく預けている在庫の量で決まります。そのため注文が少ないと、1件あたりに乗る保管料が大きくなります。
箱で送る商品の計算で、在庫100点のまま月の注文数だけを変えると、STOCKCREWの1件あたりの費用は次のようになります。
| 月の注文数 | 1件あたり(税込) | 自分で送る場合(関東宛て)との比較 |
|---|---|---|
| 10件 | 1,243円 | 403円高い |
| 20件 | 913円 | 73円高い |
| 30件 | 803円 | 37円安い |
| 50件 | 715円 | 125円安い |
| 100件 | 649円 | 191円安い |
この条件では、月26件前後が分かれ目です。1件あたりの発送料と入庫料は583円(税込)で、ここに月6,600円の保管料を件数で割った額が乗ります。注文が少ないうちは、預ける在庫を減らすと保管料も下がります。目安は、1〜2か月で売り切れる量です。
KOMPOは30日以内に出荷すれば保管料がかからないため、30日で売れる量だけを預ける使い方が合います。
計算に入っていない費用
どちらの計算にも、倉庫へ商品を送る送料は入っていません。仕入れ先から直接倉庫に納品できれば、この送料はかかりません。KOMPOでは、仕入れ先から直接納品できるのは月額料金のかかるプランだけです。
保管料は、在庫を長く置くほど増えます。STOCKCREWは在庫の体積で日割り計算され、売れて在庫が減れば保管料も下がります。KOMPOは30日を超えると箱単位で保管料がかかります。売れ行きの遅い商品を大量に預けると、保管料が積み上がって、自分で送るより高くつくことがあります。預けるのは、よく売れる商品から始めるのが安全です。
発送代行に切り替える目安
費用だけで比べると、投函サイズの商品は自分で送り続けるほうが得に見えます。それでも切り替える人が多いのは、発送にかかる時間が注文数に比例して増えるからです。
切り替えを考える目安は次の3つです。
- 発送作業のために、商品撮影や集客の時間が取れなくなっている
- 箱で送る商品が中心で、運賃が1件800円を超えている
- 在庫を置く場所が足りなくなってきた
1つ目は、時間を時給に換算すると判断しやすくなります。たとえば1件の発送に5分かかるなら、月50件で約4時間です。この4時間を、投函サイズなら3,700〜5,050円で買えることになります。自分の作業時間が注文数に対してどう増えるかは、次の記事で計算しています。
関連記事ネットショップ運営の仕事内容と作業時間|注文数別に計算
2つ目は、前の章の計算のとおりです。箱で送る商品は、発送代行に切り替えると時間と費用の両方が減る可能性があります。
3つ目は見落とされがちな理由です。在庫が自宅の一部屋を占めるようになったら、それだけで倉庫に預ける理由になります。
料金表を公開している倉庫と、見積もりが必要な倉庫
発送代行のサービスは、料金の出し方で2つに分かれます。
| 料金の出し方 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 料金表を公開している | 月数十件から始めたい個人・小規模のショップ | 作業内容が決まっていて、個別の対応は少ない |
| 見積もりで決まる | ラッピング、冷蔵、大きな商品など、個別の条件がある人 | 条件を伝えないと比べられない |
料金表を公開しているサービスは、登録してすぐに使い始められます。そのかわり、作業の内容はサービス側が決めた範囲に限られます。
見積もりで決まる倉庫は、作業内容を相談して決められます。たとえばオープンロジは、初期費用と固定費を無料としたうえで、入荷・保管料や配送料は物流の状況を聞いてから案内する形です。生鮮食品・中古商品・危険物・医薬品・販売価格が30万円を超える商品は扱えないと明記しています。
見積もり型の倉庫を比べるときは、同じ条件を複数の会社に伝えることが欠かせません。伝える条件は、月の出荷件数、商品の大きさと点数、ラッピングなどの追加作業、使っているカートの4つです。条件をそろえないと、1件あたりの単価だけが安く見える見積もりを選んでしまいます。保管料や追加作業を含めた月の総額で比べてください。
小ロット向けのサービスには、できないことがある
料金表を公開している小ロット向けのサービスは、作業を決まった形にそろえることで料金を下げています。そのため、自分で発送していたときにできていたことが、できなくなる場合があります。
KOMPOの場合、公式ページには次のように書かれています。
| 項目 | KOMPOの対応 |
|---|---|
| ラッピング | 不可 |
| 領収書の同梱 | 不可 |
| 冷凍・冷蔵 | 常温品のみ |
| 購入者からの返品 | 月額料金のかからないプランでは対応不可 |
| 出荷までの時間 | 午後8時までの発送登録で翌営業日に出荷 |
| 納品から発送開始まで | 月額料金のかからないプランでは納品から1〜3日後 |
STOCKCREWは、ギフトラッピング(1件150円から、仕様により見積もり)、納品書の同梱(1件20円)、購入者からの返品対応(1件300円)をオプションで用意しています。同じ小ロット向けでも、どこまで対応するかはサービスごとに違います。
出典:KOMPO(料金・よくある質問)/STOCKCREW(料金表)
ギフト需要のある商品で、ラッピングの選択肢を商品ページに載せている場合は特に注意が必要です。委託先がラッピングに対応していなければ、その選択肢を外すか、ラッピングの注文だけ自分で送ることになります。手書きのメッセージカードやおまけの同梱も、同じように確認してください。
委託する前に、今の発送でやっていることを書き出す
- ラッピングやのしの対応
- 納品書・領収書・メッセージカードの同梱
- チラシやおまけの同梱
- 冷蔵・冷凍が必要な商品の有無
- 購入者からの返品・交換の受け付け
- 注文から出荷までの日数(商品ページに書いている日数)
書き出した項目のうち、委託先が対応しないものは、商品ページや規約から外すか、別の方法で対応するかを決めてから切り替えます。
委託先を決める前に確認すること
倉庫業の登録を受けているか
他人の商品を倉庫で預かって保管する事業は、倉庫業法にもとづき国土交通省の登録を受ける必要があります。登録には、保管する物品に応じた倉庫施設の基準を満たすことや、倉庫管理主任者を選ぶことが求められます。発送を委託する側に許可は要りません。
国土交通省は、登録倉庫事業者の棟別リストを公表しています。委託先の候補が決まったら、このリストで登録を受けているかを確かめられます。
返品の届け先と規約
発送代行に切り替えると、商品は倉庫から出ていきます。返品を受け付けるなら、返品の届け先を倉庫にするのか、自分の住所にするのかを決めておきます。倉庫で受けられない場合は、自分の住所に届くようにして、規約と特定商取引法にもとづく表記の返品の項目を見直します。
返品のルールを開業前に決めておくことの大切さは、次の記事でも触れています。
関連記事ネットショップ開業の失敗パターン|数字で見る原因と回避策
在庫数をどこで管理するか
発送代行を使うと、在庫の正しい数は倉庫のシステムが持つようになります。カートの在庫数と倉庫の在庫数がずれると、在庫がないのに注文を受けてしまいます。カートと倉庫のシステムがつながるか、在庫数をどちらに合わせるかを、契約前に確認してください。
自社サイトとモールの両方で売っている場合は、在庫をそろえる仕組みも必要になります。
関連記事在庫管理システム比較|ECの在庫連携はカート機能で足りるか
海外に発送するか
海外の購入者に送る場合は、国際配送に対応しているかを確認します。STOCKCREWは海外発送に対応しており、国際配送の送料に加えて1件300円(税抜)の海外発送手数料がかかります。海外販売の仕組みと費用は、次の記事でまとめています。
関連記事越境ECとは?仕組みと始め方・代行の違いとかかる費用
利用開始までの流れ
料金表を公開しているサービスなら、問い合わせから見積もりを待つ必要がなく、登録してすぐに準備を始められます。STOCKCREWは契約後最短7日で利用できると案内しています。KOMPOは会員登録、ポイントの購入、納品の予約、納品の4ステップで準備が整う形です。
対応範囲と料金を確かめる
今の発送でやっていることを書き出し、委託先が対応するかを確認します。月の件数と在庫量から、月の総額を計算します。
申し込んで、商品を登録する
倉庫のシステムに商品名やサイズを登録します。商品にバーコードを貼るよう求められることがあります。
倉庫に商品を納品する
納品の予約をしてから、商品を倉庫へ送ります。倉庫で数を確かめて在庫として登録されると、出荷できる状態になります。
カートと倉庫のシステムをつなぐ
注文の情報が倉庫に自動で届くようにします。つなげない場合は、注文ごとに倉庫のシステムへ発送を登録します。
テストの注文で届き方を確かめる
自分宛てに注文を入れ、梱包の状態や同梱物、届くまでの日数を確認してから、商品ページの発送日数を書き換えます。
最後のテスト注文は省かないでください。発送を外に出すと、購入者に届く荷物を自分で見る機会がなくなります。切り替えの前に一度、購入者と同じ立場で受け取っておくと、梱包や同梱物の問題に先に気づけます。
まとめ
発送代行は、在庫の保管から梱包・発送までを倉庫に任せるサービスです。小ロット向けのサービスなら、初期費用と月額の固定費なしで、個人でも使い始められます。
60サイズの箱で送る商品は、公開料金で計算すると自分で持ち込むより1件あたりが安くなります。投函サイズの商品は自分で送るほうが1件70〜100円ほど安く、その差額で発送の時間を買うかどうかが判断の軸です。料金表のない倉庫を使う場合は、同じ条件で複数社の見積もりを取り、月の総額で比べてください。
委託する前には、今の発送でやっていること(ラッピング、同梱物、返品の受け付け)を書き出し、委託先が対応するかを確認します。対応しないものは、商品ページや規約から外してから切り替えると、購入者とのトラブルを防げます。