BtoB向けECカートとは:BtoC向けとの4つの違い

BtoB向けECカートは、取引先(卸先や販売店)からの注文をネットで受けるためのカートです。一般の消費者に売るBtoC向けのカートとは、次の4点が違います。

項目BtoC向けのカートBtoB向けのカート
価格誰にでも同じ価格取引先ごとに掛け率や卸価格を変える
公開範囲誰でも見られる取引先だけがログインして見られる
支払い注文時にカードなどで払う月末締めの請求書払い(掛け払い)
注文の形1個から、商品ページで選ぶロット単位、品番の一括入力、見積書

この4つのうち、カート選びで差が出やすいのは価格と支払いです。取引先ごとにどこまで細かく価格を分けられるかと、掛け払いをどう処理するかは、サービスによって大きく違います。

公開範囲と注文の形は、多くのサービスが会員制のサイトや一括注文の機能で対応しています。ただし標準機能か有料オプションかは分かれるので、料金と合わせて確認します。

EDIとの違い

EDIは、企業同士が受発注のデータを決まった形式でやり取りする仕組みです。発注側と受注側の双方のシステムをつなぐ必要があります。

BtoB ECは、取引先がブラウザでサイトにログインして注文する仕組みです。取引先側にシステムがなくても使えます。FAXや電話で注文してくる中小の取引先をオンラインに移すなら、BtoB ECのほうが始めやすい方法です。

始め方は2通り:今のカートに足すか、専用カートを入れるか

BtoB向けECカートの始め方は、大きく2つに分かれます。

始め方向いている場合この記事で比べるサービス
今のカートに卸機能を足すBtoCのショップがすでにあり、同じ商品を卸にも出すmakeshop・Shopify・カラーミーショップ
BtoB専用のカートを入れる卸が売上の中心で、取引先や掛け払いの件数が多いBカート

今のカートに足す方法は、商品の登録と在庫を小売と卸で1つにまとめられるのが利点です。カラーミーショップの卸販売アプリは、商品登録は1度きりで、受注と在庫を共通で管理できると案内しています。makeshop BtoBも、BtoCとBtoBを1つのサイトで兼用できるとしています。

BtoB専用のカートは、掛け売りの請求や取引先の管理まで含めた作りになっています。Bカートは、公式の決済サービスとして掛け払いを用意しています。小売のショップを持たず、卸だけをオンラインにしたい場合はこちらが候補になります。

新しい卸先を探したい場合は、カートとは別に卸のモールに出品する方法もあります。この記事では、既存の取引先からの注文を自社のサイトで受けることを前提に比べます。

4サービスの料金と、取引先ごとの価格の扱い

4サービスの料金と、取引先ごとに価格を変える機能をまとめました。

サービス・プラン初期費用月額取引先ごとの価格掛け払い
makeshop
プレミアム
11,000円13,750円有料オプション(110,000円・買い切り)外部の後払い決済と連携
makeshop
エンタープライズ
11,000円55,000円から標準搭載外部の後払い決済と連携
Shopify
Basic
なし3,650円(年払い)B2Bカタログは全体で3つまで支払い条件(後払いの期日)を設定
カラーミーショップ
レギュラー
3,300円5,940円+卸販売3,190円+従量卸チャネルごとに掛け率とロット決済の一覧になし
Bカート
ライト
80,000円(税別)9,800円(税別)標準公式の掛け払い(別料金)

出典:makeshop(makeshop BtoBの料金・makeshop BtoBのFAQ)/Shopify(料金プラン・Shopify B2B features by plan)/カラーミーショップ(プラン・料金一覧・卸販売アプリ)/Bカート(料金プラン)

2026年10月23日時点の公式ページの記載です。Bカートは「価格はすべて税別」と書かれています。makeshop BtoBの料金ページは、オプションの金額に税込か税抜かを書いておらず、金額は参考値で正確な料金は問い合わせるよう注記しています。カラーミーショップのレギュラーの月額は、2026年11月1日以降の5,940円で書いています。料金は改定されることがあるため、契約前に公式ページで確認してください。

makeshop:プレミアムは機能を買い切りで足す

makeshopのBtoBは、通常のmakeshopのプランがそのまま土台になります。プレミアムプランでも、取引先だけがアクセスできる会員制のサイトは標準機能で作れます。全取引先に同じ価格で売るなら、追加費用はかかりません。

取引先ごとに価格を変えるには、有料のBtoBオプションが必要です。料金ページでは、次の5機能がそれぞれ110,000円の買い切りで、5機能をまとめると440,000円です。

  • 取引先グループ別の価格表示(卸価格・割引率・ポイント率)
  • 取引先グループ別の商品表示
  • 取引先グループ別の決済制御
  • 法人名の入力
  • 見積書の発行

エンタープライズプランでは、見積書の発行を除く4機能が標準で入っています。会員限定の非公開ショップ(シークレットショップ)と品番の一括入力(カタログ注文)も標準です。プレミアムでは、この2つはそれぞれ年66,000円のオプションです。

Shopify:Basicから使えるが、価格表は3つまで

ShopifyのB2B機能は、2026年4月からBasic・Grow・Advancedでも使えるようになりました。追加費用はかかりません。StarterとRetailでは使えません。

Basicでも、会社(取引先)の登録、数量ルールと数量割引、支払い条件、下書き注文からの請求、発注番号の入力が使えます。差があるのは価格表(カタログ)です。Basic・Grow・Advancedでは、有効なB2Bカタログが全体で3つまでで、Markets経由で割り当てます。会社や拠点ごとにカタログを直接割り当てられるのはPlusだけです。

取引先が多く、1社ずつ違う卸価格を付けている場合は、Basicでは足りません。掛け率が3段階までに収まるなら、Basicから始められます。

カラーミーショップ:卸販売アプリで掛け率とロットを設定

カラーミーショップは、公式の「卸販売」アプリで卸に対応します。小売用のショップとは別に卸販売サイトを作り、卸チャネルごとに掛け率とロットを設定します。取引先ごとに個別のチャネルを作ることもできます。

料金は、レギュラープランで月額3,190円(税込)からです。これに見積もり受注の件数に応じた従量課金が加わります。月50件までは何件でも110円で、51件目からは1件につき55円が足されます。月100件なら利用料は6,050円です。ラージとプレミアムでは月額が0円で、従量課金だけがかかります。

Bカート:BtoB専用で、商品数と会員数でプランが決まる

Bカートは、BtoBの受発注に絞った専用のカートです。プランは、登録できる商品数と会員数(取引先の数)で分かれます。

プラン月額(税別)商品数会員数
ライト9,800円50050
プラン1019,800円1,0001,000
プラン3029,800円3,0003,000
プラン5039,800円5,0005,000
プラン10049,800円10,00010,000
プラン30079,800円30,00030,000

出典:Bカート(料金プラン・オプション料金)

初期費用は全プラン共通で80,000円(税別)です。独自ドメインを使う場合は、月3,000円(税別)のオプションが加わります。CSVで注文を受け付けるCSV注文機能は、プラン30以上でないと使えません。ライトプランの会員数は50までなので、取引先が50社を超えるとプラン10に上がります。

初年度にいくらかかるか:取引先ごとに価格を変える場合

取引先ごとに価格を変える前提で、1年目と2年目以降の費用を並べました。初期費用・月額・必要なオプションを足しています。決済手数料と掛け払いの手数料は含めていません。

サービス・構成1年目2年目以降(年間)取引先別価格の分け方
Shopify
Basic(年払い)
43,800円43,800円カタログ3つまで
カラーミーショップ
レギュラー+卸販売
114,180円110,880円卸チャネルごと
Bカート
ライト(税別)
197,600円117,600円標準(会員50まで)
makeshop
プレミアム+価格表示
286,000円165,000円取引先グループ別
makeshop
プレミアム+5機能セット
616,000円165,000円取引先グループ別
makeshop
エンタープライズ
671,000円660,000円取引先グループ別

計算の条件は次のとおりです。

  • Shopify:Basicの年払い3,650円×12か月。初期費用はなし
  • カラーミーショップ:初期費用3,300円と、月額5,940円・卸販売3,190円・従量110円(月50件まで)の12か月分
  • Bカート:初期費用80,000円と、月額9,800円の12か月分。独自ドメインは含めていない
  • makeshop:初期費用11,000円と月額の12か月分に、オプションの買い切り額を足した。プレミアムの「価格表示」は取引先グループ別価格表示の110,000円だけを足した場合

1年目の差は約4万円から約67万円まで開きます。差を生んでいるのは、取引先ごとの価格をどこまで細かく分けられるかです。

ShopifyのBasicとカラーミーショップは、小売のショップにそのまま卸を足せるので安く済みます。そのかわり、価格の分け方はカタログ3つまで、または卸チャネル単位です。

makeshopのプレミアムは、オプションが買い切りなので、2年目以降は月額だけになります。2年目以降の年間はエンタープライズの約4分の1です。取引先グループ別の価格・商品表示・決済制御を使いながら、BtoCのショップも同じサイトで続けられます。小売のショップを持ったまま卸の取引先を細かく分けたい場合に、費用と機能の釣り合いが取れる構成です。

取引先ごとに価格を変える場合の1年目と2年目以降の費用Shopify Basicは1年目も2年目以降も43,800円。カラーミーショップのレギュラーと卸販売は1年目114,180円、2年目以降110,880円。Bカートのライトは1年目197,600円、2年目以降117,600円(税別)。makeshopのプレミアムと取引先グループ別価格表示は1年目286,000円、2年目以降165,000円。makeshopのエンタープライズは1年目671,000円、2年目以降660,000円。取引先別の価格で始める費用濃い棒が1年目、薄い棒が2年目以降の年間Shopify Basic4.4万円カラーミー レギュラー+卸販売11.4万円Bカート ライト(税別)19.8万円makeshop プレミアム+価格表示28.6万円makeshop エンタープライズ67.1万円右の数字は1年目。決済・掛け払いの手数料は含まない

カート代より大きくなりやすいのが、掛け払いの手数料

BtoBの取引では、月末締めで請求書を送り、翌月に振り込んでもらう掛け払いが一般的です。カードで先に払ってもらう方法は、取引先によっては受け入れられません。

掛け払いの処理は、自社で請求・回収するか、後払い決済のサービスに任せるかのどちらかです。自社で行う場合は手数料がかからないかわりに、取引先の与信(支払い能力の確認)と、請求書の発行、入金の確認、未払いの督促を自社で行います。

サービスに任せると、売上の3%前後がかかる

後払い決済のサービスに任せると、与信審査から請求書の発行、回収までを代行してもらえます。Bカートの公式の掛け払い「Bカート掛け払い」の料金は次のとおりです。

プラン目安のEC月商決済手数料率月額基本料(税別)
プランA0〜100万円3.2%0円
プランB100〜300万円2.8%4,000円
プランC300万円以上2.4%16,000円

出典:Bカート(Bカート掛け払い)

初期費用は0円で、取引先(買い手)の利用料は無料です。決済手数料率は、税込の請求額に対してかかります。請求書を郵送する場合は1件215円(税別)が加わります。未回収時の入金保証は、運営会社のマネーフォワードケッサイが定める条件を満たした場合に限られます。月商1,000万円以上は個別の見積もりです。

この料率で、掛け払いの月額の手数料を計算しました。

掛け払いの月商(税込)プラン毎月の手数料
30万円A(3.2%)9,600円
50万円A(3.2%)16,000円
100万円A(3.2%)32,000円
200万円B(2.8%+4,000円)60,000円
300万円B(2.8%+4,000円)88,000円

手数料と月額基本料は税別です。月商100万円ではプランAとプランBが同額の32,000円、300万円ではプランBとプランCが同額の88,000円になります。

月商100万円の掛け払いで、手数料はBカートのライトプランの月額の3倍を超えます。BtoB向けECカートの費用を比べるときは、カートの月額だけでなく、掛け払いの手数料を入れて見積もってください。

カートごとの掛け払いの扱い

サービス掛け払いの扱い
Bカート公式のBカート掛け払いで、与信・請求書の発行・回収を代行。注文日・出荷日・納品日から売上の基準日を選べる
makeshop月末締めの請求書はmakeshop上で発行できない。NP掛け払いなどの後払い決済か、外部の販売管理システムとの連携を案内している
Shopify支払い条件を設定して後払いにでき、支払いのリマインダーも送れる。与信審査や未回収の保証は、機能一覧に含まれていない
カラーミーショップ卸販売アプリで使える決済は、銀行振込・ゆうちょ振替・代引・クレジットカード。掛け払いのサービスは一覧にない

出典:Bカート(Bカート掛け払い)/makeshop(makeshop BtoBのFAQ)/Shopify(Shopify B2B features by plan)/カラーミーショップ(卸販売アプリ)

取引先ごとに決済方法を分けると、手数料を抑えられる

付き合いの長い取引先は自社の請求書払いのまま、新しい取引先だけを後払い決済に通す方法もあります。makeshopは取引先グループ別の決済制御で、取引先ごとに使える決済方法を分けられると案内しています。Bカートには、与信を自社で済ませた既存の取引先向けに、請求書の発行・発送と入金管理だけを代行する請求代行プランがあります(1件500円から・税別)。

インボイス制度:取引先が求める請求書を出せるか

BtoBでは、取引先も事業者です。取引先が消費税の課税事業者なら、仕入税額控除を受けるために、原則としてインボイス(適格請求書)の交付を受けて保存する必要があります。売手がインボイス発行事業者なら、取引先から求められたときにインボイスを交付し、その写しを保存する義務があります。

インボイスには、次の6項目を記載します。

  • 交付を受ける取引先の氏名または名称
  • 売手の氏名または名称と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引の内容(軽減税率の対象品目であればその旨)
  • 税率ごとに区分した対価の合計額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等

出典:国税庁「インボイス制度の概要」

名称は請求書・納品書・領収書のどれでも構いません。書類でもデータでもよく、カートが出す領収書や掛け払いのサービスが出す請求書がこの項目を満たしていれば、インボイスとして使えます。

取引先の会社名と、税率ごとの消費税額が載るかは、カートを決める前に確認してください。Bカート掛け払いは、登録番号を自動で記載した適格請求書を発行すると案内しています。makeshopの法人名入力機能は、注文時に会社名と部署名を入力してもらうためのオプションです。

インボイスで確認すること

  • 自社がインボイス発行事業者として登録済みで、登録番号を請求書や領収書に載せられるか
  • 取引先の会社名を、注文時に入力してもらえるか
  • 8%と10%の商品が混ざる場合に、税率ごとの合計額と消費税額が分かれて載るか
  • 月末締めでまとめて請求するとき、どの書類をインボイスとして渡すか決まっているか

どれを選ぶか:取引先の分け方と掛け払いの件数で決める

ここまでの料金と機能から、選び方を4つに整理しました。

BtoB向けECカートを選ぶ順番最初に、掛け払いの取引先が多く請求と回収を任せたいかを見る。任せたいならBカート。そうでなければ、BtoCのショップがあるかを見る。ない場合もBカートが候補。ある場合は、卸価格の段階が3つ以内ならShopifyのBasicかカラーミーショップの卸販売、取引先グループごとに細かく分けたいならmakeshopのプレミアムとBtoBオプション。基幹システム連携や承認フローまで要るならmakeshopのエンタープライズ。掛け払いの取引先が多く請求と回収を任せたい?はいBカート+掛け払いいいえBtoCのショップがある?ないある卸価格を何段階に分けるか3つ以内細かく分けるShopify Basicカラーミー卸販売makeshopプレミアム+オプション基幹システム連携や承認フローまで要るならmakeshop エンタープライズ
結論

BtoCのショップがあり、卸価格の段階が少ないなら、今のカートに足すのがいちばん安く済みます。ShopifyのBasicなら追加費用なしで、カラーミーショップのレギュラーなら卸販売アプリの月3,190円からです。取引先をグループに分けて価格・商品・決済方法を出し分けたいなら、makeshopのプレミアムにBtoBオプションを買い切りで足す構成が、2年目以降の費用を年165,000円に抑えられます。卸が中心で掛け払いの件数が多いなら、請求と回収まで任せられるBカートが候補です。

makeshopの詳細を見る →

どのサービスも、無料で試せる期間があります。Bカートは30日間(商品50・会員10まで)、makeshop BtoBは7日間、カラーミーショップの卸販売アプリは14日間です。取引先にテスト注文を1件入れてもらい、注文から請求書が届くまでを確かめてから契約に進んでください。

まとめ

BtoB向けECカートを選ぶときに確認すること

  • 今のカートに卸機能を足すか、BtoB専用のカートを入れるか
  • 卸価格を何段階に分けるか。ShopifyのBasic〜Advancedはカタログ3つまで
  • 取引先ごとの価格が標準機能か有料オプションか。makeshopのプレミアムは1機能110,000円の買い切り
  • 掛け払いを自社で回収するか、後払い決済に任せるか。任せると売上の3%前後がかかる
  • 登録番号と税率ごとの消費税額を載せた請求書を出せるか
  • 1年目だけでなく、2年目以降の年間費用で比べたか

BtoB向けECカートの費用は、カートの月額より、取引先ごとの価格をどう分けるかと、掛け払いをどう処理するかで決まります。取引先の数と掛け率の段階、掛け払いの月商を書き出してから、この記事の表に当てはめて比べてください。