Shopifyの海外販売は、Basicプランから追加費用なしで始められる
Shopifyで海外に売るための機能は、いちばん安いBasicプランから使えます。海外販売のための追加の月額はかかりません。
Basicプランで使える海外販売の機能は、次の6つです。
| 機能 | できること | Shopifyペイメント |
|---|---|---|
| Shopify Markets | 国や地域ごとにマーケットを作り、価格・言語・税の扱いを分ける | 不要 |
| ストアフロントの翻訳 | 商品ページ・ポリシー・チェックアウトを購入者の言語で表示する | 不要 |
| 現地通貨での価格表示 | ドルやユーロなど、購入者の通貨で表示して支払いを受ける | 必要 |
| 現地の決済方法 | その国で使われている決済手段を出す | 必要 |
| 現地のドメインの割り当て | マーケットごとにドメインやサブフォルダを分ける | 不要 |
| 関税と税金の見積もりと徴収 | 購入時に関税と輸入税の見積額を示して受け取る | 不要 |
現地通貨で売るには、Shopifyペイメントを使うことが条件です。ほかの外部の決済サービスで受けた注文は、ストアの通貨である円で処理されます。マーケットごとの価格調整や商品ごとの価格の設定は、Shopifyペイメントがなくても、すべてのプランで使えます。
Basicプランの月額は、年払いで3,650円、月払いで4,850円です。海外発行のカードの決済手数料は3.9%です。
出典:Shopify(料金プラン)/Shopify(現地通貨での販売に関するガイドラインと制約)
越境ECの仕組みや、Shopify以外の売り方との違いは越境ECとは?仕組みと始め方・代行の違いとかかる費用で解説しています。この記事では、Shopifyで海外に売ると決めた人に向けて、設定と価格の決め方に絞ります。
海外販売を始める設定は5つ
設定は、管理画面の[マーケット]と[設定]で進めます。次の順に進めると、手戻りが少なくなります。
売る国のマーケットを作る
管理画面の[マーケット]で、売りたい国や地域のマーケットを作ります。複数の国を1つのマーケットにまとめることもできます。あとで国ごとに為替レートを固定したくなったら、その国だけのマーケットが必要です。
言語を追加して翻訳する
Shopify公式の無料アプリ「Translate & Adapt」で翻訳を追加します。2言語までは無料で自動翻訳でき、手動の翻訳は必要な言語の数だけ追加できます。Basicプランでは最大20言語で販売できます。
通貨と価格を決める
マーケットの[通貨]で、現地通貨を使うかどうかと為替レートの決め方を選びます。端数処理の有無もここで決めます。価格の決め方は次の章で詳しく扱います。
税金と関税の扱いを決める
マーケットの[税金と関税]で、価格に税を含めて表示するかと、関税を購入時に受け取るかを選びます。
プレビューで価格を確かめて公開する
[マーケット]のページで、換算後の価格をプレビューできます。商品管理の「表示するマーケット」でマーケットを選ぶと、そのマーケットの通貨で価格が並び、価格をクリックすると計算の内訳が出ます。
これとは別に、海外向けの国際送料の設定と、発送の方法を決める作業があります。送料は国や重さで大きく変わるため、使う配送業者の料金表をもとに決めてください。この記事では扱いません。
言語の追加には、テーマが多言語に対応している必要があります。Shopifyの無料テーマはすべて対応しています。チェックアウトには33言語の翻訳が用意されているため、対応する言語なら購入画面は翻訳済みの状態で表示されます。
出典:Shopify(複数言語での販売に関する要件と考慮事項)/Shopify App Store(Translate & Adapt)/Shopify(マーケットのカタログを作成)
海外向けの価格の決め方は3つ
海外のマーケットでの価格は、国内向けに登録した円の価格をもとに決まります。決め方は次の3つです。
| 決め方 | 表示される価格 | 両替手数料2% | 為替が動いたとき |
|---|---|---|---|
| 自動換算 | 円の価格×その時の為替レート×1.02 | 表示価格に上乗せされる | 表示価格が変わる |
| 手動の為替レート | 円の価格×自分で決めたレート | レートに含めるかを自分で決める | 表示価格は変わらず、手取りが変わる |
| 固定価格 | 商品ごとに決めた現地通貨の額 | 上乗せされない | 表示価格は変わらず、手取りが変わる |
何も設定しなければ、自動換算になります。表示価格は為替レートに合わせて変わり、購入者が払う額にはShopifyの両替手数料の分が含まれます。
手動の為替レートは、1つの国だけのマーケットか、現地通貨をオフにした複数の国のマーケットで設定できます。主要マーケット(日本)には設定できません。固定価格は、マーケットに割り当てるカタログで商品ごとに決めます。固定価格を決めた商品には、手動の為替レートより固定価格が優先されます。
自動換算と手動の為替レートでは、カタログの「価格調整」でパーセンテージを指定すると、マーケットの価格を一律に増減できます。ただし商品ごとに固定価格を決めると、その商品には価格調整がかかりません。たとえば全体を10%下げていても、固定価格を2.00ドルにした商品は2.00ドルで売られます。
出典:Shopify(通貨換算と為替レート)/Shopify(マーケットのカタログを作成)
自動換算の価格には、両替手数料2%が上乗せされている
自動換算の価格は、次の式で計算されます。
価格は、商品価格に為替換算レートを掛け、換算手数料を加え、該当する場合はその通貨の端数処理ルールを適用することによって換算されます。
Shopifyヘルプセンター「通貨換算と為替レート」
日本のストアの通貨両替手数料は2%です。つまり5,000円の商品は、1ドル150円なら33.33ドルではなく34.00ドルで表示されます。両替手数料の分は、はじめから購入者の価格に乗っています。
そのため、自動換算で売ったときの手取りは、円のまま売ったときとほとんど変わりません。5,000円の商品を米国の購入者に売った場合で比べます。
| 売り方 | 購入者が払う額 | 引かれる手数料 | 手取り |
|---|---|---|---|
| 円のまま販売 | 5,000円 | 海外カード3.9%(195円) | 4,805円 |
| 自動換算 | 34.00ドル(5,100円相当) | 海外カード3.9%(約199円)、両替2%(102円) | 約4,799円 |
| 固定価格33.33ドル | 33.33ドル(5,000円相当) | 海外カード3.9%(195円)、両替2%(100円) | 4,705円 |
| 自動換算+動的な税の表示 | 30.91ドル(約4,636円相当) | 海外カード3.9%(約181円)、両替2%(約93円) | 約4,363円 |
金額は、Basicプランで海外発行のカードを使い、1ドル150円で換算したものです。端数処理と送料は含めていません。円のまま販売するときは、通貨の両替がないため両替手数料はかかりません。
円のまま売ると、手取りは最も多くなります。ただし購入者には円で表示されるため、自分の通貨でいくらになるかを購入者が計算することになります。自動換算は、手取りを円のときとほぼ同じに保ったまま、購入者の通貨で表示できる方法です。
固定価格は、決めた額がそのまま表示されます。33.33ドルのように円の価格を割っただけの額にすると、両替手数料の100円が手取りから減ります。固定価格にするなら、両替手数料の2%を価格に含めて決めます。
返金しても、カードの決済手数料と両替手数料は戻りません。返金のときに、追加の両替手数料がかかることもありません。
出典:Shopify(手数料と費用)/Shopify(通貨換算と為替レート)
国内の税込み価格のまま売ると、消費税分も海外の購入者が払う
国内向けの商品価格は、消費税を含めた税込みの額で登録するのが一般的です。何も設定せずに海外のマーケットで売ると、海外の購入者もこの税込みの価格をもとにした額を払います。
マーケットの[税金と関税]で「動的な税の表示」を選ぶと、購入者の地域に合わせて価格に税を含めるか除くかが自動で切り替わります。日本の税率は10%なので、税込み5,000円の商品は、税を請求する必要のない地域では税抜きの約4,545円をもとに表示されます。1ドル150円なら、自動換算で30.91ドルです。
英国のように、価格に付加価値税(VAT)を含めて表示する国もあります。こうした国で税の徴収を設定していると、税抜きの価格に現地の税率を足した額が表示されます。
固定価格には、動的な税の表示がかからない
国や地域ごとの固定価格は、動的な税の表示で調整されません。固定価格を使うときは、購入者に請求したい額をそのまま入力します。また動的な税の表示は商品価格だけを変え、送料は変えません。
税抜きにすると手取りは減って見えます。一方で、輸出として売った売上は、条件を満たせば消費税が免除されます。税込み5,000円のうち、約454円は消費税にあたる部分です。海外向けに税込みの価格のまま売るか、税抜きにして値ごろ感を出すかは、輸出免税の扱いと合わせて決めてください。消費税の扱いは越境ECとはの記事にまとめています。
出典:Shopify(動的な税込価格設定)
価格調整のパーセンテージは、上乗せしたい費用から逆算する
マーケット全体の価格を上げ下げしたいときは、カタログの価格調整を使います。何%にするかは、そのマーケットで余分にかかる費用を、価格の何%にあたるかで割り出します。
海外向けの価格に見込む費用は、主に次のものです。
- 固定価格や手動の為替レートで、価格に乗らない両替手数料の2%
- 関税をショップが負担する設定にしたときの関税の見込み額
- 関税を購入時に計算する設定にしたときの取引手数料(2026年10月時点で0.5%)
- 海外からの返品や問い合わせの対応にかかる手間の分
計算はシンプルです。1件あたり上乗せしたい額を、その商品の価格で割ります。たとえば5,000円の商品に1件250円を見込みたいなら、250円÷5,000円で5%の価格調整です。
価格調整は、マーケットの全商品に同じ割合でかかります。商品によって上乗せしたい額が大きく違うなら、その商品だけ固定価格にします。固定価格は価格調整より優先されるためです。
手動の為替レートを使うときは、両替手数料をレートに含めておく方法もあります。公式ヘルプでは、決めたレートに(1+両替手数料)を掛ける方法が示されています。1ドル150円で固定したいなら、1円あたりのレート(約0.00667ドル)に1.02を掛けた約0.0068を設定します。
自動換算のままでも、価格調整は併用できます。この場合、表示価格は為替レートで動いたうえで、調整の割合が上乗せされます。
為替レートは自動か手動か
為替レートを自動にするか手動にするかは、価格を固定したいか、手取りを安定させたいかで決めます。
自動換算が向く場合
- 手取りを円で安定させたい
- マーケットの数が多く、価格を1つずつ見直せない
- 端数処理で表示を整えれば足りる
手動・固定価格が向く場合
- 「29ドル」のように現地で切りのよい価格を保ちたい
- 広告や商品ページに載せた価格を変えたくない
- 為替による手取りの増減を受け入れられる
自動換算では、表示価格が為替レートで日々変わります。端数処理を有効にすると、各通貨で一般的な単位に揃えて表示されます。端数処理のルールは通貨ごとに決まっていて、独自のルールは作れません。
手動の為替レートと固定価格は、表示価格を固定できます。そのかわり、為替が円高に振れると、同じ現地通貨の価格でも円の手取りが減ります。公式ヘルプでも、固定価格を使う場合は為替換算で損失や利益が出る可能性があると案内されています。
為替の影響は、返金でも出ます。購入から返金までの間にレートが動くと、受け取った円の額と、返す円の額が一致しません。現地通貨で支払われた全額を返金する場合、為替の差は自分で負担します。
出典:Shopify(価格の端数処理)/Shopify(通貨換算と為替レート)
関税を誰が払うかは、購入前に決めて設定する
関税と輸入税は、荷物が届く国でかかる税金です。Shopifyでは、購入時に見積額を受け取るかどうかを選べます。
| 設定 | 関税を払う人 | 購入者から見た価格 |
|---|---|---|
| 徴収しない | 配送の条件による。届いたときに購入者へ請求されることがある | 購入時は商品代と送料だけ |
| 項目として表示 | 購入者(購入時に払う) | 購入時に関税の見積額が加わる |
| 価格に関税を含める | ショップ | 購入時の価格のまま。関税は加わらない |
徴収しない設定でも売れます。ただ、届いたときに想定していない額を請求されると、購入者とのトラブルの原因になります。関税をどう扱うかは、購入前に商品ページや配送ポリシーで伝えておきます。
購入時に関税を受け取るには、商品にHSコード(統計品目番号)と原産国を登録し、DDP(関税込みの条件)に対応した配送業者を使う必要があります。設定は[設定]の[税金と関税]から行います。HSコードが間違っていると見積額がずれ、届いたときに追加で請求されることがあります。
関税を計算した注文には、取引手数料がかかります。2025年2月2日から一時的に0.5%に引き下げられており、通常はShopifyペイメントを使うストアで0.85%です。関税の計算額が0円の注文にもかかります。
米国向けの郵便物は、2025年8月に免税の措置が停止された影響で、関税の扱いが変わっています。配送の条件ごとの違いは越境ECとはの記事で解説しています。
出典:Shopify(チェックアウト時の国際関税と輸入税の徴収)
海外に売ったときのShopifyの手数料
海外の購入者に売ると、国内向けより手数料の種類が増えます。Basicプランの場合で整理します。
| 手数料 | かかるとき | 料率(Basic) |
|---|---|---|
| 海外カードの決済手数料 | 海外で発行されたカードで払われたとき | 3.9%(国内カードは3.55%) |
| 通貨両替手数料 | 円以外の通貨で支払いを受けたとき | 2% |
| 関税計算の取引手数料 | 購入時に関税と輸入税を計算したとき | 0.5%(一時的な料率。通常は0.85%) |
両替手数料は、自動換算でも手動の為替レートでも同じようにかかります。自動換算なら表示価格に上乗せされ、手動の為替レートや固定価格なら自分で価格に見込む、という違いです。
海外の購入者の側では、カード会社が海外取引の手数料を請求することがあります。現地通貨で請求された場合でもかかることがあり、Shopifyは関与していません。
当社も自社ブランドのShopifyサイトを運営していて、Shopifyの手数料は思っていたより大きいと感じました。海外に売ると、そこに為替の手数料も重なります。海外向けの価格は、国内の価格を換算して終わりにせず、手数料の内訳を足して決めてください。
国内向けを含めた手数料の全体と、上位プランに切り替える目安はShopifyの手数料はいくらで計算しています。
出典:Shopify(料金プラン)/Shopify(手数料と費用)
関連記事越境ECプラットフォーム比較|手数料と注文数で選ぶ6サービス
売り始める前に確認すること
設定を終えたら、公開する前に次の項目を確かめます。
海外販売を公開する前のチェック
- 売る商品が、相手国の禁制品や配送できない品物にあたらないか
- マーケットのプレビューで、換算後の価格が想定どおりになっているか
- 固定価格の商品に、両替手数料の2%を見込んだか
- 国内の税込み価格のまま売るか、動的な税の表示で税抜きにするかを決めたか
- 関税を誰が払うかを、商品ページや配送ポリシーに書いたか
- 返品と返金を受けるか、受けるなら国際送料を誰が払うかを決めたか
- 翻訳した商品説明とポリシーを、自動翻訳のままにせず読み直したか
客単価5,000円で比べると、ShopifyとBASEのかんたん海外販売は、月12件の注文を境に総額の順位が入れ替わります。海外の注文がまだ来るか分からない段階なら、比べてから始めても遅くありません。比較は越境ECプラットフォーム比較にまとめています。
まとめ
Shopifyの海外販売の要点
- 海外販売の機能はBasicプランから使え、追加の月額はかからない
- 現地通貨での表示と現地の決済方法には、Shopifyペイメントが必要
- 設定はマーケット・言語・通貨と価格・税金と関税・プレビューの5つ
- 自動換算の価格には両替手数料2%が上乗せされ、手取りは円で売るときとほぼ同じ
- 固定価格は両替手数料が上乗せされないため、5,000円の商品で手取りが約100円減る
- 国内の税込み価格のままか、動的な税の表示で税抜きにするかを決める
- 関税を購入時に受け取るなら、HSコードの登録と0.5%(通常0.85%)の取引手数料が必要
Shopifyの海外販売は、設定の手順よりも価格の決め方で手取りが変わります。迷ったら、まず自動換算で始めると、両替手数料を価格に含めたまま購入者の通貨で表示できます。現地で切りのよい価格にしたくなった商品から、手数料を見込んだ固定価格に切り替えてください。
料金と手数料は、いずれも2026年10月19日時点のShopifyの公式ページの記載です。ドル建ての金額は1ドル150円で換算しており、為替で円での額は変わります。料金や手数料は改定されることがあるため、設定の前に最新の案内を確認してください。