越境ECプラットフォームは3タイプ、違いは海外発送を誰がするか
越境ECプラットフォームとは、海外の消費者に商品を売るためのネットショップの仕組みやECモールのことです。小さな店が最初に選ぶものは、次の3タイプに分かれます。
| タイプ | 代表的なサービス | 海外発送をする人 | 集客 |
|---|---|---|---|
| 自社サイト型 | Shopify | ショップ | 自分で集める |
| 国内サービスの海外販売機能 | BASEのかんたん海外販売、WorldShopping BIZ | 代行事業者(ショップは国内に送るだけ) | 自分で集める |
| 海外モール型 | eBay、Amazon.com、Shopee | ショップ、またはモールの物流 | モールの購入者に見つけてもらえる |
手数料の差は、この「誰が何を引き受けるか」の差でもあります。代行事業者が海外発送を担うタイプは、ショップの手間が少ないぶん手数料が上乗せされます。海外モールは、モールが集めた購入者に売れるぶん、販売額に対する手数料が高めです。自社サイトは手数料が低い代わりに、発送も集客も自分で引き受けます。
越境ECそのものの仕組みと、関税・消費税の扱いは越境ECとは?仕組みと始め方・代行の違いとかかる費用で解説しています。この記事では、どのプラットフォームを選ぶかに絞って比べます。
主要6サービスの手数料と条件の比較表
小さな店が最初に選びやすい6サービスを、固定費・注文ごとの手数料・発送の方法で並べます。
| サービス | 固定費 | 注文ごとの手数料(ショップ側) | 海外への発送 |
|---|---|---|---|
| Shopify Basic | 月3,650円(年払い)/月4,850円(月払い) | 海外カード3.9%。現地通貨で売ると通貨両替手数料2%が加わる | ショップが直接送る |
| BASE かんたん海外販売 | 0円(スタンダードプランの場合) | プランの手数料+海外販売利用料5% | 国内に送るだけ。海外へはwant.jp株式会社が送る |
| WorldShopping BIZ | 初期33,000円、月5,500円 | 売上手数料は無料 | 国内に送るだけ |
| eBay | 0円(出品は月250件まで無料) | 落札手数料13.6%+1注文0.40ドル、海外手数料1.35% | ショップが直接送る |
| Amazon.com | Professionalは月39.99ドル。Individualは0円 | 販売手数料15%が多い。Individualは1点0.99ドルを追加 | ショップが送るか、FBAで米国の倉庫から送る |
| Shopee | 0円 | 販売手数料と決済手数料がかかる。料率は出店時に公式で確認する | 日本から直接送る。一部の国は国内の提携倉庫に送る |
金額は税込みで、2026年10月16日時点の公式ページの記載です。eBayの落札手数料は、ほとんどのカテゴリーに適用される料率です。Amazon.comの販売手数料はカテゴリーで変わり、15%のカテゴリーには1点0.30ドルの最低額があります。
Shopeeの販売手数料と決済手数料は、2026年10月時点で公式ページに現行の料率が示されていませんでした。手数料がかかること自体は公式に案内されています。出店を決める前に、管理画面か担当窓口で料率を確かめてください。
出典:Shopify(料金プラン)/Shopify(手数料と費用)/BASE(かんたん海外販売について教えてください)/BASE(料金・手数料)/WorldShopping BIZ(公式サイト)/eBay(Selling fees)/eBay(International fees)/Amazon(Selling on Amazon fees)/Shopee(出店について)
5,000円の注文1件で引かれる額のランキング
海外の購入者から5,000円の注文を1件受けたときに、ショップの売上から引かれる額を少ない順に並べます。ドル建ての手数料は1ドル150円で換算し、送料は0円として計算しています。
| サービス | 引かれるもの | 5,000円で引かれる額 |
|---|---|---|
| Shopify Basic(円で販売) | 海外カード3.9% | 195円(3.9%) |
| Shopify Basic(現地通貨で販売) | 海外カード3.9%+通貨両替手数料2% | 295円(5.9%) |
| BASE グロース+かんたん海外販売 | 決済手数料2.9%+海外販売利用料5% | 395円(7.9%) |
| BASE スタンダード+かんたん海外販売 | 決済手数料3.6%+40円、サービス利用料3%、海外販売利用料5% | 620円(12.4%) |
| Amazon.com(Professional) | 販売手数料15% | 750円(15.0%) |
| eBay | 落札手数料13.6%+0.40ドル、海外手数料1.35% | 約808円(約16.2%) |
| Amazon.com(Individual) | 販売手数料15%+1点0.99ドル | 約899円(約18.0%) |
WorldShopping BIZは売上手数料が無料で、費用を固定費として払う仕組みのため、この比較から外しています。Shopeeは現行の料率が公式に示されていないため外しています。
注文1件で比べると、自社サイト型のShopifyが最も少なく、海外モールはその3〜4倍になります。BASEのかんたん海外販売はその間に入ります。
この差は、そのまま「損か得か」ではありません。海外モールの手数料には、モールに集まる購入者に商品を見てもらえる分が含まれています。Shopifyで同じ数の注文を取るには、SNSや広告で自分で集客する必要があります。
eBayの落札手数料は、送料を含む販売総額にかかります。購入者から送料を受け取る場合は、送料にも13.6%がかかる点に注意してください。Amazon.comとeBayの売上は、円で受け取るときの為替レートでも手取りが動きます。
月の注文数で、総額の順位が入れ替わる
固定費を足すと順位が変わります。客単価5,000円の注文が月に何件あるかで、手数料と固定費の合計を比べます。Shopifyは年払い・現地通貨で販売、Amazon.comは2つのプランのうち安いほうで計算しています。
| サービス | 月5件 | 月10件 | 月20件 | 月50件 |
|---|---|---|---|---|
| Shopify Basic | 5,125円 | 6,600円 | 9,550円 | 18,400円 |
| BASE スタンダード+かんたん海外販売 | 3,100円 | 6,200円 | 12,400円 | 31,000円 |
| eBay | 約4,038円 | 約8,075円 | 約16,150円 | 約40,375円 |
| Amazon.com | 約4,492円(Individual) | 約8,985円(Individual) | 約17,970円(Individual) | 約43,498円(Professional) |
月5件なら、固定費0円のBASEのスタンダードプランが最も少なくなります。月12件からは、ShopifyのBasicのほうが少なくなります。BASEとの差は1件あたり325円で、Shopifyの月額3,650円をこの差で割ると約11.2件だからです。
eBayとの比較では、Shopifyは月8件から少なくなります。Amazon.comは、月の注文が41件以上になるとIndividualよりProfessionalのほうが安くなります。
BASEのグロースプランは月16,580円(年払い)の固定費があるため、海外の注文だけで切り替えると割高です。グロースプランが得になるのは、スタンダードプランより手数料が少ない分が月額を上回る場合です。海外の注文だけなら、月約74件が目安です。国内の売上と合わせて判断してください。
差は件数が増えるほど開きます。月20件ならShopifyのほうが月2,850円少なく、1年で34,200円の差です。月50件なら月12,600円、1年で151,200円の差になります。
この表には国際送料と、海外発送にかかる作業の時間が入っていません。BASEのかんたん海外販売は、海外への発送を代行事業者が担い、送料は購入者が払います。Shopifyで直接売る場合は、国際送料の設定と発送をショップが引き受けます。件数が少ないうちは、作業の差のほうが手数料の差より大きく効きます。
購入者が払う総額も、選ぶ基準になる
ショップの手数料が少ない方法が、海外の購入者にとっても安いとは限りません。BASEのかんたん海外販売では、ショップの代わりに購入者が代行手数料を払います。
5,000円の商品を国内送料0円で売る場合、購入者には代行手数料の下限の500円がかかります。これに海外送料と、支払額の2〜3%の決済手数料が加わります。購入者から見ると、商品の値段に少なくとも500円と海外送料が上乗せされます。
Shopifyで直接売る場合、購入者が払うのは商品代金と、ショップが設定した送料です。関税と輸入税の見積もりと徴収の機能を使うと、購入の時点で関税の額を示して払ってもらえます。代行手数料がかからないぶん、同じ商品・同じ送料なら購入者が払う総額はShopifyで直接売るほうが少なくなります。
単価の低い商品ほど、この差は効きます。2,000円の商品でも代行手数料は下限の500円なので、商品代金の25%にあたります。単価の低い商品を海外に売り続けるなら、購入者の負担が少ない売り方に移ることで、買ってもらえる価格帯が広がります。
Shopify:注文が続くなら、1件あたりの手数料が最も低い
Shopifyは、自分の越境ECサイトを作る自社サイト型のサービスです。Basicプランから、ストアの翻訳・現地通貨での価格表示・現地の決済手段・現地ドメインの割り当て・関税と輸入税の見積もりと徴収の機能が使えます。現地通貨での表示と現地の決済手段は、Shopifyペイメントの利用が条件です。
海外発行のカードの決済手数料は、Basicプランで3.9%です。お客さまが円以外の通貨で払うと、通貨両替手数料2%が加わります。返金しても、カードの決済手数料と通貨両替手数料は戻りません。
向いている店
- 海外からの注文が毎月続いている
- SNSや既存の顧客など、自分で集客する手段がある
- ブランドの見せ方や価格を自分で決めたい
向いていない店
- 海外から注文が来るかまだ分からない
- 国際配送と英語での問い合わせ対応を引き受けられない
注文1件あたりでは比べた中で最も低い一方、月額の固定費と両替手数料を海外向けの価格に見込んでおく必要があります。
関連記事Shopifyの手数料はいくら|プラン別の実額と上位プランの目安
BASEのかんたん海外販売:固定費0円で、国内に送るだけ
BASEのかんたん海外販売は、BASEのショップに海外の購入者が買える仕組みを足す機能です。海外への発送は代行事業者のwant.jp株式会社が行い、ショップは国内に発送するだけで済みます。初期費用と月額費用は0円です。
ショップ側には、プランの手数料に加えて、商品代金と国内送料の合計の5%が海外販売利用料としてかかります。購入者の側には、商品代金と国内送料の合計の10%(下限500円・上限3,000円)の代行手数料と、支払額の2〜3%の決済手数料がかかります。ショップの手数料は抑えられても、購入者が払う総額は国内の購入者より高くなります。
月に数件の海外注文で反応を見る段階なら、6サービスの中で総額が最も少なくなります。海外に何が売れるか分からないうちの、最初の一手に向いています。
関連記事BASEの手数料はいくら|4つの内訳と実質料率の計算
WorldShopping BIZ:自社サイトにタグを1行足す
WorldShopping BIZは、すでにある自社サイトに海外の購入者が買える仕組みを足すサービスです。導入はサイトにタグを1行入れるだけです。売れたら国内に配送するだけで、海外への配送と購入者の問い合わせ対応は運営会社のジグザグが担います。対応する国と地域は228です。
料金は初期費用33,000円・月額5,500円で、売上手数料は無料です。料金はタグの受け渡しの翌営業日から発生し、1契約で1ドメインが対象です。
固定費があるため、BASEのかんたん海外販売と違って、注文が0件の月にも費用がかかります。すでにBASE以外のカートで自社サイトを運営していて、そのまま海外の注文を受けたい店の選択肢です。
eBay:出品は月250件まで無料、手数料は販売額の約15%
eBayは、世界の購入者が使う海外モールです。日本からの出品者は、ebay.comに出品して海外に売ります。出品は月250件まで無料で、それを超えると1件0.35ドルがかかります。
売れたときには、販売総額の13.6%の落札手数料と、1注文0.40ドル(10ドル以下の注文は0.30ドル)がかかります。これに、日本で登録した出品者には海外手数料1.35%が加わります。海外手数料は、前月の売上が3,000ドル以上で出品者の評価が一定以上なら、段階的に下がります。
発送はショップが自分で行います。一点ものや中古品、コレクション向けの商品など、世界中から探しに来る購入者がいる商品に向いています。
Amazon.com:米国の購入者に売る、FBAも選べる
Amazon.comは、米国のAmazonです。日本の出品者は、Amazonグローバルセリングの仕組みで出品できます。料金プランは、月39.99ドルのProfessionalと、売れた1点ごとに0.99ドルのIndividualの2つです。販売手数料はカテゴリーで変わり、多くのカテゴリーは15%(最低0.30ドル)です。
発送は、ショップが自分で送る方法と、FBAで商品を米国のAmazonの倉庫に先に納めておく方法を選べます。FBAを使うと、在庫を先に米国へ送る手間と費用が先に出ていきます。米国の購入者を主な相手にしたい店が対象です。
Shopee:東南アジアと台湾に、個人でも出店できる
Shopeeは、東南アジアと台湾を中心とした海外モールです。日本の出品者は、シンガポール・台湾・タイ・マレーシア・フィリピン・ベトナム・ブラジルの7つの市場に出店できます。新しく出店する場合は、シンガポール・台湾・マレーシア・フィリピンから始めます。
初期費用や月額費用などの固定費はかかりません。法人番号や開業届がない個人でも出店できると、公式に案内されています。
発送は日本から現地の購入者に直接送ります。シンガポールとフィリピン向けは、Shopeeの物流サービス(SLS)を使うと国内の提携倉庫に送るだけで済みます。販売手数料と決済手数料の現行の料率は、出店前に公式の窓口で確かめてください。
最初のプラットフォームから移るときの手間
固定費0円の方法で始めて、注文が続いたら自社サイトに移る。この順番は、移るときに手間がかかることも見込んでおく必要があります。
当社はBASEからShopifyに乗り換えたことがあり、商品登録をし直すのが手間でした。プラットフォームが変わると、商品の説明文・写真・価格・在庫を新しい管理画面に登録し直すことになります。海外向けには、英語などの説明文も合わせて用意します。
移る手間を小さくするには、始めた時点から次のものを手元にまとめておきます。
- 商品ごとの説明文(日本語と外国語)と写真の元データ
- 海外向けの価格と、その根拠にした手数料・送料の計算
- 海外から買ってくれた購入者の国と、売れた商品の記録
どの国から何が売れたかの記録は、移った後にどの国向けに送料や言語を設定するかを決める材料になります。
関連記事BASEとShopifyの比較|月商別の総額と乗り換えコスト
迷ったら、3つの質問で選ぶ
越境ECプラットフォームは、手数料の順位だけでは選べません。次の3つの質問に順に答えると、最初の1つが決まります。
海外の注文は毎月続いているか
まだ分からないなら、固定費をかけない方法で反応を見ます。BASEのショップならかんたん海外販売、ほかのカートで自社サイトがあるならWorldShopping BIZが候補です。
自分で集客する手段があるか
SNSのフォロワーや既存の顧客など、海外の購入者を自分で連れて来られるならShopifyが向きます。手段がないなら、海外モールの集客力を使います。
どの国の購入者に売りたいか
海外モールは、売りたい国で選びます。世界の購入者に一点ものを売るならeBay、米国ならAmazon.com、東南アジアと台湾ならShopeeです。
どのプラットフォームを選んでも、先に確かめることは同じです。売りたい商品を相手国に送れるか、国際送料と手数料を足しても売れる価格に収まるかを、出店の前に確認してください。
出店前に確認すること
- 売りたい商品が、相手国の禁制品や配送できない品物にあたらないか
- 国際送料と手数料を足した価格で、現地の購入者が買うか
- 関税を購入者とショップのどちらが払うかを、購入前に伝えられるか
- 返品と返金を受けるか、受けるなら送料を誰が払うかを決めたか
- 英語などでの問い合わせに、誰がどのくらいの日数で答えるか
関税の負担と、輸出した売上の消費税の扱いは越境ECとはの記事にまとめています。
まとめ
越境ECプラットフォームの選び方の要点
- 越境ECプラットフォームは、自社サイト型・国内サービスの海外販売機能・海外モールの3タイプ
- 5,000円の注文1件で引かれる額は、Shopifyが195〜295円・BASEのかんたん海外販売が395〜620円・海外モールが750〜899円
- 月の注文が11件まではBASEのかんたん海外販売、12件からはShopifyのBasicのほうが総額が少ない
- 海外モールの手数料が高いのは、モールの購入者に見てもらえる分が含まれているため
- BASEのかんたん海外販売とWorldShopping BIZは、国内に送るだけで海外の購入者に売れる
- Shopeeは固定費0円で、個人でも出店できる
海外から注文が来るか分からないうちは、固定費をかけずに国内に送るだけの方法で試します。海外の注文が月に12件以上続くようになったら、1件あたりの手数料が低いShopifyに移ると手元に残る額が増えます。自分で集客する手段がなければ、売りたい国の海外モールから始めてください。
金額と条件は、いずれも2026年10月16日時点の各社の公式ページの記載です。ドル建ての手数料は1ドル150円で換算しており、為替で円での額は変わります。手数料は改定されることがあるため、出店の前に各サービスの最新の案内を確認してください。