BASEとShopifyは、費用のかかり方が逆になっている

BASEとShopifyの違いは、機能の多さではなく費用のかけ方です。BASEは固定費を0円にして売れたときに多く引く設計で、Shopifyは月額を取って売れたときの料率を下げる設計です。だから、どちらが安いかは月商と客単価で決まります。

よく見かける「小さく始めるならBASE、本格的にやるならShopify」は、方向としては合っています。ただし公式の数字で総額を計算すると、最安のプランは1回ではなく2回入れ替わります。BASEのグロースプランの決済料率2.9%が、Shopifyのどのプランよりも低いからです。

結論

月額と国内カードの決済料率だけで並べると、客単価5,000円・年払いの条件で、月商約9万円までがBASEのスタンダードプラン、約9万円から約199万円までがShopifyのBasic、それ以上はBASEのグロースプランがいちばん安くなります。ただし逆転した月に乗り換えるのは得になりません。移行の作業量は商品数と顧客数に比例して増えるため、動くかどうかは月商が安定しているかで決めます。

この記事の金額は、2026年10月3日時点の各社の料金ページの記載です。料金体系は予告なく変更されるため、契約前に公式ページで確認してください。

出典:BASE(料金ページ)/Shopify(料金ページ)/STORES(料金ページ)

料金と決済料率を公式情報で並べる

まず月額と決済料率だけを縦に並べます。表に入れたのは、オンラインの国内クレジットカード決済の料率です。

サービスとプラン月額(年払い1か月あたり)国内カードの決済料率
BASE スタンダード0円3.6%+40円(別にサービス利用料3%)
BASE グロース16,580円(月払い19,980円)2.9%(サービス利用料0円)
Shopify Basic3,650円(月払い4,850円)3.55%
Shopify Grow10,100円(月払い13,500円)3.4%
Shopify Advanced44,000円(月払い58,500円)3.25%
Shopify Plus368,000円から2.9%

ここで目につくのは料率の並び順です。BASEのグロースプランの2.9%は、Shopifyでは月額368,000円からのPlusと同じ水準で、Advancedの3.25%よりも低くなっています。「売上が伸びたらShopifyのほうが手数料が安くなる」という説明は、決済料率に限ると成り立ちません。

決済手数料が上がる条件は両方にあります

BASEは公式の料金ページに、PayPay・Amazon Pay・PayPalではシステム手数料相当額1%が決済手数料に加算されると書かれています。ShopifyはShopifyペイメント以外の決済サービスを使うと、サードパーティ決済手数料がBasicで2%、Growで1%、Advancedで0.6%かかります。表の料率は、どちらも標準の決済を使った場合の数字です。

BASEの手数料は、この決済手数料とサービス利用料のほかに、振込のときにかかるものが2種類あります。1注文で引かれる実額と、プラン変更の判断は別の記事にまとめました。

月商別の総額を計算する

料率だけでは判断できないので、月額を足した総額で比べます。客単価5,000円、注文はすべて国内カード決済、Shopifyはクレジットカード決済をShopifyペイメントで受けるという条件で計算しました。

月商(注文件数)BASE スタンダードBASE グロースShopify BasicShopify Grow
10万円(20件)7,400円19,480円7,200円13,500円
30万円(60件)22,200円25,280円14,300円20,300円
50万円(100件)37,000円31,080円21,400円27,100円
100万円(200件)74,000円45,580円39,150円44,100円
300万円(600件)222,000円103,580円110,150円112,100円

月額はいずれも年払いの1か月あたりで計算しています。この表から読めることは3つです。

  • 月商10万円の時点で、すでにShopifyのBasicのほうが安い(7,200円と7,400円)
  • 月商50万円では差が月15,600円まで開き、年間で187,200円になる
  • 月商300万円では順番が戻り、BASEのグロースプランがいちばん安くなる
月額と決済料率だけで並べたとき、最安のプランが入れ替わる月商 客単価5,000円・年払いの条件では、月商約9万円まではBASEスタンダードが最安。約9万円から約199万円まではShopify Basicが最安。約199万円を超えるとBASEグロースが最安に戻る。 月商 約199万円〜 BASE グロース 月16,580円+2.9% 月商 約9万〜199万円 Shopify Basic 月3,650円+3.55% 月商 約9万円まで BASE スタンダード 月0円+6.6%+40円 客単価5,000円・年払い・国内カード決済のみで計算 機能・拡張性・越境ECは含めていない BASEグロースは月商が落ちた月も月額がかかる

月商300万円でBASEのグロースプランが安くなる理由は単純です。料率の差が0.65%あり、月商300万円ではそれが19,500円になるため、月額の差12,930円を上回ります。この逆転が起きるのは月商約199万円です。

安い順が戻るのは費用だけの話です

月商200万円を超えたショップがBASEに戻るべきという話ではありません。この規模では外部サービスとの連携や在庫管理の自動化が必要になり、その手段の数がコストの差を簡単に上回ります。月商が大きいときにBASEのグロースが安く見えるのは、Shopifyの料率が最上位プランまで2.9%を下回らないという構造を示しているだけです。

逆転する月商は、客単価と支払い方で動く

BASEのスタンダードプランには1注文あたり40円の固定分があります。注文件数が多いほどこの40円が積み上がるので、客単価が低いショップほど早くShopifyのほうが安くなります。

スタンダードの負担は「月商×6.6%+40円×注文件数」、ShopifyのBasicの負担は「月商×3.55%+月額」です。この2つが等しくなる月商を、客単価と支払い方ごとに計算しました。

客単価Shopify年払い(月3,650円)Shopify月払い(月4,850円)
1,000円約5万円約7万円
3,000円約8万円約11万円
5,000円約9万円約13万円
10,000円約11万円約14万円

比較記事では「月商10万円」や「月商30万円」が分岐点として紹介されます。計算で出てくるのは月商5万円から14万円の幅で、紹介される数字より低く出ます。客単価1,000円のショップなら、月商5万円で逆転します。

年払いにできるかどうかでも2万円から5万円ほど動きます。Shopifyは年払いで月額が約25%下がるため、1年続ける見込みがあるなら年払いを選ぶだけで分岐点が前に来ます。逆に、売れるかどうかを試している段階で年払いを選ぶ理由はありません。

逆転しても、すぐ乗り換えが得になるわけではない

ここが比較記事でいちばん抜けやすいところです。月々の総額が逆転したことと、乗り換えたほうが得なことは別です。乗り換えには月々の差額とは別に、一度きりのコストがかかります。

月商50万円・客単価5,000円のショップで考えます。BASEのスタンダードプランで月37,000円、ShopifyのBasic(年払い)で月21,400円なので、差額は月15,600円です。この15,600円に対して、乗り換えでは次の作業が発生します。

  1. 商品データを作り直す

    BASEからCSVで出した商品情報を、Shopifyの商品CSVの列に合わせて並べ替えます。画像はCSVにURLで指定します。

  2. 顧客リストを注文データから組み立てる

    BASEは顧客情報をダウンロードできないため、注文データから氏名とメールアドレスを拾って重複を除く作業になります。

  3. 既存の顧客にパスワードの再設定を案内する

    パスワードは移行できません。案内のメールを送る時点で、一定の離脱を見込んでおく必要があります。

  4. URLの変更に対応する

    商品ページのURLの形が変わります。301リダイレクトを設定しても、検索流入が戻るまでには数か月かかります。

  5. 公開前にテスト注文を通す

    決済・送料・配送方法の設定を、実際に1件注文を入れて最後まで確認します。

この作業量は商品数と顧客数に比例します。つまり乗り換えを先送りするほど、乗り換えのコストは上がります。月商が伸びれば差額も増えますが、同時に商品点数も顧客数も増えているので、動くときの負担も増えています。

乗り換えを判断するときに見る3つの分岐 直近3か月の月商が逆転ラインを続けて超えているかを見る。超えていなければ据え置き。超えていれば、越境ECや外部連携の予定があるかを見る。予定があれば移行する。なければ商品数を見て、少ないうちに移すか、BASEのグロースプランへの切り替えで済ませるかを決める。 直近3か月とも逆転ラインを超えたか 1か月だけ超えた月は判断に使わない 超えていない場合は、そのまま続ける 越境ECや外部連携の予定があるか あるなら、費用の差とは別に移行する理由になる 商品数と顧客数は、いま何件あるか 少ないうちに動くほど、移行の作業は軽くなる 連携の予定がないなら、まずプラン変更で足りる BASEのグロースへの切り替えは移行作業が不要

費用だけが動機なら、乗り換えの前にBASEの中でプランを変える選択肢があります。グロースプランへの切り替えは、商品も顧客もそのままなので移行作業がゼロです。外部サービスとの連携や越境ECの予定がないなら、まずプラン変更で足ります。

商品ページを作る時間は、思っているより長い

当社が自社ブランドのECを運営するなかでは、商品写真と説明文に1商品あたり2時間かけています。乗り換えのときは写真と原稿をそのまま流用できるので、1商品に2時間はかかりません。それでも商品点数ぶんの登録と確認は残ります。

ここで見積もりを誤りやすいのは、移行を「データを移す作業」だと考えてしまうことです。実際には、移した後に表示を1点ずつ確認する時間のほうが長くなります。商品点数が多いショップほど、この確認作業が乗り換えの実質的な費用になります。

BASEからShopifyへ移すとき、引き継げるものと引き継げないもの

「BASEのデータをShopifyに移行できますか」は、よく検索されている質問です。答えは項目ごとに違います。公式ヘルプの記載にもとづいて整理します。

データBASEから出せるかShopifyに入れられるか
商品名・価格・説明・在庫CSV商品管理 Appでダウンロードできる商品CSVでインポートできる(1ファイル15MBまで)
商品画像ショップ上の画像URLを使うCSVにURLを書いて取り込む
顧客の氏名・メールアドレスダウンロードできない顧客CSVでインポートできる
顧客のパスワード出せないインポートできない
過去の注文履歴注文データダウンロード Appで出せる顧客CSVには注文を含められない

顧客リストは作り直しになります

BASEの公式ヘルプには、顧客情報について「大変申し訳ございませんが、現状は顧客情報をダウンロードすることができません」と書かれています(顧客情報はダウンロード可能ですか)。顧客リストそのものを書き出す手段がないため、「注文データダウンロード App」で出した注文データから氏名とメールアドレスを拾い、重複を除いて作り直すことになります。リピート購入が多いショップでは、この突き合わせに時間がかかります。

パスワードについては、Shopifyの公式ヘルプに、パスワードはShopifyの外で暗号化されているためCSVで移行できないと書かれています。既存の顧客は全員、Shopify側で新しいパスワードを設定することになります。この再設定の案内で一定の顧客が戻ってこないことを、移行の計画に入れてください。

注文履歴も引き継げません。顧客CSVでは累計の購入金額と注文数は表示専用の項目で、過去の注文そのものはインポートできないとShopifyの公式ヘルプに書かれています。購入回数に応じたクーポンなどを運用している場合は、移行前にBASEの注文データを保存しておき、集計は別に持つ必要があります。

画像の扱いには、作業中に起きやすい事故があります。Shopifyの公式ヘルプには、表計算ソフトでCSVを並べ替えると商品から画像リンクが外れ、画像が失われる可能性があると書かれています。商品CSVを編集するときは、並べ替えをしないか、並べ替えた後に画像の列を確認してください。

入金のされ方は、仕組みそのものが違う

BASEとShopifyでは、売上が口座に届く経路が違います。BASEは自分で振込を申請する仕組みで、Shopifyは設定した曜日に自動で入る仕組みです。

項目BASEShopify(Shopifyペイメント)
入金の起点振込を申請したとき設定した入金日に自動
入金までの日数申請から10営業日5日+入金日までの残り日数
サイクルの選択申請のたびに決められる日本では週次または月次(日次は不可)
1回ごとの手数料振込手数料250円。申請額2万円未満は事務手数料500円記載なし
急ぐ場合お急ぎ振込1.5%、最速振込3%前倒しの仕組みはない

違いが効くのは、引き出す回数が多いショップです。BASEは申請のたびに250円がかかり、2万円未満の申請だと500円が足されます。月に4回引き出せば年間で12,000円、2万円未満の申請が混ざればさらに増えます。Shopifyは入金日を設定すれば自動で入るため、回数を気にする必要がありません。

一方でBASEは、必要なときに自分のタイミングで申請できます。Shopifyは日本では日次入金を選べず、公式ヘルプには「5日+入金日までの残り営業日数」で送金されると書かれています。水曜日の注文で入金日が金曜日なら、翌週の金曜日(8営業日後)になります。資金の回り方をサービス間で比べた記事も用意しています。

STORESを入れると、選択肢は3つに分かれる

BASEとShopifyの比較で検索している人が、同時にSTORESも調べているケースは多いです。3社を同じ条件で並べます。

項目BASESTORESShopify
月額0円のプランスタンダード(6.6%+40円)フリー(5.5%から)なし
有料プラン(年払い)月16,580円+2.9%月3,300円+3.6%から月3,650円+3.55%から
入金申請から10営業日月末締めの翌月末払い(1万円以上)週次または月次で自動
振込手数料250円(2万円未満は+500円)275円記載なし

月額0円の枠では、料率だけならSTORESのフリープラン(5.5%から)がBASEのスタンダード(6.6%+40円)より低くなります。ただしSTORESのフリープランは入金が月末締めの翌月末払いで、月初に売れた分が手元に来るまで約2か月かかります。手数料の差より、この待ち時間のほうが開業直後には重く効きます。

有料プランでは、STORESのスタンダード(年間契約で月3,300円+3.6%から)とShopifyのBasic(年払いで月3,650円+3.55%)がほぼ同じ水準です。月商50万円・客単価5,000円ならSTORESが21,300円、ShopifyのBasicが21,400円で、差は100円です。この価格帯では、費用で選ぶ意味はほとんどありません。何で選ぶかは次の章に移ります。

なお、STORESのフリープランとスタンダードプランの決済手数料は「から」付きの表記です。公式ページには、PayPal・ペイディ・atone・楽天ペイ・PayPay残高・Amazon Pay・キャリア決済ではフリーが6.5%、スタンダードが4.6%になると書かれています。

費用が同じなら、何で選ぶか

価格が並ぶ以上、判断は機能に移ります。比較表に出にくいところを3つ挙げます。

Shopifyを選ぶ理由になるもの

  • 多通貨・多言語に標準で対応し、海外に売る前提で設計されている
  • アプリで外部サービスと連携でき、業務の自動化を後から足せる
  • テーマのコードを編集でき、デザインの変更に制約が少ない

BASEを選ぶ理由になるもの

  • 月額0円で始められ、売れない月の固定費がかからない
  • 管理画面が日本語前提で、国内向けの運営だけなら迷いにくい
  • グロースプランの決済料率2.9%は、Shopifyのどのプランよりも低い

意外と見落とされるのが、複数人で運営するときのアカウント数です。Shopifyの公式料金ページには、スタッフアカウントがBasicは追加不可、Growは最大5件、Advancedは最大15件と書かれています。2人以上で管理画面に入る運営なら、Shopifyの実質的な下限はBasicではなくGrowです。

Growの月額は年払いで10,100円です。これを前提に計算すると、月商50万円でBASEのスタンダードが37,000円、ShopifyのGrowが27,100円になります。それでもShopifyが安いので判断は変わりませんが、Basicの月額だけを見て試算すると差を見誤ります。

ECカートの選び方を型から整理した記事もあります。BASEとShopify以外も候補に入れるなら、先にこちらを読んだほうが早いはずです。

ケース別の結論

ここまでの数字をもとに、3つのケースに分けます。

  1. まだ売れるか分からない

    BASEのスタンダードプランで始めます。月額0円なので、売れない月の損失が固定費だけで積み上がりません。商品数が少ないうちは、後で移るときの作業も軽く済みます。

  2. 月商が3か月続けて逆転ラインを超えた

    越境ECや外部連携の予定があるならShopifyへ移ります。予定がないなら、まずBASEのグロースプランへの切り替えで足ります。こちらは移行作業が不要です。

  3. これから始めて、海外にも売る予定がある

    最初からShopifyにします。後から移ると、商品と顧客を作り直す作業が丸ごと発生します。年払いにすれば月額は3,650円です。

結論

国内だけで小さく試すならBASE、海外や外部連携を前提にするならShopifyです。費用の差で迷っているなら、月商が3か月続けて逆転ラインを超えてから動いてください。どちらも無料で試せるので、管理画面を触ってから決めるのが確実です。

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まとめ

BASEとShopifyの比較で押さえること

  • 費用のかけ方が逆で、BASEは売れたときに引き、Shopifyは月額で取る
  • 月額と国内カードの決済料率だけで並べると、最安は月商約9万円と約199万円で入れ替わる
  • 逆転する月商は客単価と年払いかで動き、月商5万円から14万円の幅になる
  • 乗り換えの作業は商品数と顧客数に比例するので、先送りするほど高くつく
  • BASEは顧客情報をダウンロードできず、顧客リストは注文データから作り直す
  • 顧客のパスワードと過去の注文履歴は、Shopifyにインポートできない
  • 費用だけが動機なら、BASEのグロースプランへの切り替えで移行作業を避けられる

金額はいずれも2026年10月3日時点の公式ページの記載です。料金体系は予告なく変更されるため、契約前にBASE・Shopify・STORESそれぞれの公式ページで確認してください。