越境ECの決済方法は5種類、始めるならカードとウォレットで足りる

越境ECで海外の購入者が使う決済方法は、大きく5種類に分かれます。日本のショップがどう用意するかを、Shopifyペイメントを使う場合で並べます。

決済方法例Shopifyペイメントでの用意のしかた
カードVisa・Mastercard・American Express設定なしで有効。JCBは日本国内の購入者の円の取引だけ
ウォレットApple Pay・Google Pay・Shop Pay設定なしで有効
PayPalPayPalのアカウント払いPayPalのビジネスアカウントをストアに接続する
現地の決済方法Bancontact・iDEAL | Wero・MB WAY・Przelewy24管理画面の[支払い]で有効にする。欧州の4つだけ
手動の決済銀行振込など手動の決済方法として追加し、入金をショップが確認する

出典:Shopify(日本でのShopifyペイメントで利用できるお客様の決済方法)/Shopify(手動の決済方法)

売り始めの段階なら、カードとウォレットで多くの購入者に対応できます。どちらもShopifyペイメントを有効にすれば、追加の設定なしで海外のチェックアウトに表示されます。

PayPalは、カード番号を海外のショップに入力したくない購入者の受け皿になります。現地の決済方法は、売りたい国が決まってから足すもので、最初から全部を揃える必要はありません。

銀行振込は手数料がかからないかわりに、入金の確認と発送の判断をショップが手で行います。注文が少ないうちの例外的な受け皿と考えてください。

1件の海外注文で、手数料は3か所で引かれる

海外の購入者が払ってから円が口座に入るまでに、手数料がかかる場所は3つあります。このうちショップが払うのは2つ目と3つ目で、3つ目は円で受け取れば発生しません。

海外の注文で手数料が引かれる3つの場所購入者が払ってからショップの口座に円が入るまでの流れ。1つ目は購入者のカード会社による海外取引の手数料で、購入者が負担する。2つ目は決済サービスの決済手数料で、海外カードは国内より高い。3つ目は外貨で受けたときの両替の手数料で、ShopifyペイメントとStripeは2%、PayPalは3%。円で受ければかからない。最後に円で銀行口座に入金される。購入者の支払いから入金まで手数料がかかる場所と、誰が払うか1 購入者のカード会社海外取引の手数料購入者が払う。ショップには請求されない▼2 決済サービス決済手数料(海外カードは国内より高い)ショップが払う。Shopify Basicは3.9%▼3 通貨の両替Shopify・Stripeは2%、PayPalは3%ショップが払う。円で受ければかからない▼円で銀行口座に入金

1. 購入者のカード会社がかける海外取引の手数料

海外のショップで買うと、購入者のカード会社や銀行が手数料をかけることがあります。この手数料は購入者に請求され、ショップには請求されません。Shopifyの公式ヘルプも、加盟店には課されない手数料として扱っています。

注意したいのは、購入者の通貨で価格を表示しても、この手数料がなくなるとは限らない点です。Stripeの公式ドキュメントでは、決済の通貨が同じでも、ショップと購入者の国が違えばカード会社が手数料をかける場合があるとしています。

購入者から見ると、表示価格より少し多く請求されたように見えます。「請求額が違う」という問い合わせは、ショップの設定ではなくカード会社の手数料が原因のことがあります。よくある質問に一文書いておくと、問い合わせの対応が短く済みます。

2. 決済サービスの決済手数料

ショップが払う手数料の中心です。海外で発行されたカードは、国内のカードより料率が高く設定されていることがあります。ShopifyペイメントのBasicプランでは、国内カードの3.55%に対し、海外カードは3.9%です。PayPalは国内の取引の3.6%に、海外の取引で0.5%が加わります。

3. 通貨の両替の手数料

購入者が円以外の通貨で払い、それを円で受け取るときにかかります。Shopifyペイメントでは、為替レートを自動にしても手動で決めても2%です。Stripeは通貨換算が必要な場合に2%、PayPalは受け取った外貨を円に換えるときに為替レートへ3%が上乗せされます。

円のまま売れば、この手数料はショップ側では発生しません。ただし購入者は、自分の通貨でいくらになるかを自分で計算することになります。

出典:Shopify(手数料と費用)/Stripe(サポートされている通貨)/PayPal(マーチャント手数料)

5,000円の注文で引かれる額を、決済サービス別に比べる

海外の購入者から5,000円の注文を受けたとき、ショップの手元から引かれる額を比べます。円で受け取る場合と、ドルで受け取って円に換える場合の両方を計算しました。

5,000円の海外注文1件で引かれる額少ない順に、Stripeを円で受けると180円、ShopifyペイメントBasicを円で受けると195円、PayPalを円で受けると245円、Stripeをドルで受けると約280円、ShopifyペイメントBasicをドルで受けると約295円、PayPalをドルで受けて円に換えると約394円。1ドル150円で計算。海外注文1件で引かれる額5,000円の注文・海外カード・1ドル150円Stripe(円で受ける)180円Shopifyペイメント Basic(円で受ける)195円PayPal(円で受ける)245円Stripe(ドルで受ける)約280円Shopifyペイメント Basic(ドルで受ける)約295円PayPal(ドルで受けて円に換える)約394円濃い青:円で受ける 薄い青:ドルで受ける
決済サービスと受け取る通貨引かれるもの引かれる額手取り
Stripe(円で受ける)カード3.6%180円(3.6%)4,820円
Shopifyペイメント Basic(円で受ける)海外カード3.9%195円(3.9%)4,805円
PayPal(円で受ける)4.1%+40円245円(4.9%)4,755円
Stripe(ドルで受ける)カード3.6%+通貨換算2%約280円(5.6%)約4,720円
Shopifyペイメント Basic(ドルで受ける)海外カード3.9%+両替2%約295円(5.9%)約4,705円
PayPal(ドルで受けて円に換える)4.1%+0.30ドル、円への換算3%約394円(7.9%)約4,606円

ドルの注文は33.33ドル(1ドル150円で5,000円相当)として計算しています。端数処理と送料は含めていません。Stripeは料金ページに載っている料率で計算しました。

PayPalのドルの行は、手数料1.67ドルを引いた31.66ドルを、3%上乗せの為替レートで円に換えた額です。PayPalの残高を銀行口座に引き出すときは、1回5万円未満なら250円の手数料もかかります。注文ごとではなく引き出しごとの費用なので、表には入れていません。

出典:Shopify(料金プラン)/Shopify(手数料と費用)/PayPal(マーチャント手数料)/Stripe(料金体系)

結論

どの決済サービスでも、引かれる額を最も大きく変えるのは、円で受けるか外貨で受けるかです。同じShopifyペイメントでも、ドルで受けると円より約100円多く引かれます。PayPalはドルで受けて円に換えると、円で受けるときより約150円多くなります。

外貨で表示すると購入者は買いやすくなりますが、その分の両替手数料は価格に含めて決めます。

当社も自社ブランドのShopifyサイトを運営していますが、Shopifyの手数料は想定していたより大きいものでした。海外に売ると、そこに為替の手数料が重なります。海外向けの価格は、表の右端の手取りから逆算して決めてください。

Shopifyの自動換算の価格には、両替手数料の2%がはじめから上乗せされています。そのため自動換算で売ると、手取りは円で売るときとほぼ同じになります。価格の決め方による手取りの差は、次の記事で計算しています。

Shopifyペイメントで、海外の購入者が使える決済方法

Shopifyペイメントを使うと、カード・ウォレット・欧州の現地の決済方法を1つの契約で受けられます。日本のストアで使えるものと、その条件を整理します。

カードとウォレットは、設定なしで有効になる

Visa・Mastercard・American Expressのカードと、Apple Pay・Google Pay・Shop Payは、Shopifyペイメントを有効にすると自動で使えるようになります。

JCBには条件があります。日本のShopifyペイメントでは、JCBは日本国内の購入者による円の取引に限られます。海外の購入者がJCBで払う場面は想定しないでおきます。JCBを有効にすると、DiscoverとDiners Clubも使えるようになります。

現地の決済方法は、欧州の4つを追加できる

管理画面の[支払い]で有効にすると、次の4つを追加できます。表示されるかどうかは、ショップの所在地ではなく購入者の所在地で決まります。日本のストアでも、該当する国の購入者のチェックアウトには現地の決済方法が出ます。

決済方法購入者の国条件
Bancontactベルギー特になし
iDEAL | WeroオランダShopifyペイメントで100件以上の注文を処理していること
MB WAYポルトガルユーロでの支払い。購入者がMB WAYに携帯電話番号を登録していること
Przelewy24ポーランド特になし

出典:Shopify(日本でのShopifyペイメントで利用できるお客様の決済方法)

MB WAYの手数料は、BasicプランでShopifyの料金ページに3.9%と載っています。海外カードと同じ料率です。

AlipayやWeChat Payは、別の決済サービスで足す

日本のShopifyペイメントの一覧には、AlipayやWeChat Payは入っていません。中国の購入者向けにこれらを用意したい場合は、対応する別の決済サービスと契約してストアに追加します。

このとき、Shopifyペイメント以外の決済サービスを通った注文には、外部サービス取引手数料がかかります。Basicプランでは2%です。決済サービス自身の手数料に2%が重なるため、特定の国からの注文が実際に続いてから検討するほうが損をしません。

PayPalは例外です。Shopifyペイメントをメインの決済サービスにしていれば、PayPal経由の注文に外部サービス取引手数料はかかりません。かかるのはPayPal自身の手数料だけです。

出典:Shopify(料金プラン)/Shopify(手数料と費用)

入金は円で、毎日の入金はない

日本のShopifyペイメントの入金は、どのプランでも円です。購入者がドルで払っても、円に換えて入金されます。入金は週次か月次で、月曜から金曜の好きな曜日を選べます。日本では毎日の入金は選べません。

外貨のまま受け取りたい場合は、Shopifyペイメントでは対応できません。海外の仕入れ先に外貨で払う予定があるなら、外貨の残高を持てるPayPalと組み合わせる考え方もあります。その場合は、次の章の為替リスクをショップが持つことになります。

出典:Shopify(日本でのShopifyペイメントの支払い)

為替リスクを持つのは誰か、受け取る通貨で決まる

越境ECの為替リスクは、外貨で受け取るかどうかで、ショップに来るかどうかが決まります。受け取り方ごとに、リスクがある期間を分けて整理します。

受け取り方為替が動いたときに変わるものショップのリスクがある期間
円で受ける購入者が自分の通貨で払う額なし
外貨で受けて、すぐ円に換える表示価格か、円での手取り価格を決めてから決済されるまで
外貨のまま残高に置く円に換えたときの額円に換えるまでずっと

円で受けると、為替の動きは購入者が持つ

円で価格を決めて円で受け取れば、ショップの手取りは為替で変わりません。円安になると海外の購入者には割安に見え、円高になると割高に見えます。為替の動きは、購入者の払う額に出ます。

外貨で受けると、表示価格か手取りのどちらかが動く

Shopifyペイメントで外貨を受けた場合、両替手数料は支払いを確定したときにかかり、円で入金されます。リスクがあるのは、価格を決めてから決済されるまでの間です。

この間の動き方は、為替レートの設定で変わります。自動の為替レートなら、為替に合わせて表示価格が変わり、円での手取りはほぼ一定です。手動でレートを決めたり、固定価格にしたりすると、表示価格は動かないかわりに円での手取りが動きます。

外貨のまま残高に置くと、円に換えるまでリスクが続く

PayPalでは、受け取った外貨を残高に置いたままにできます。円に換えるまでの間、円高になれば受け取る円は減り、円安になれば増えます。外貨で払う予定がないなら、置いておく理由はあまりありません。

PayPalで残高を円に換えるときは、為替レートに3%が上乗せされます。為替の動きを待って得をしても、3%を上回らなければ、すぐ換えたときと手取りは変わらないか減ります。

出典:Shopify(手数料と費用)/Shopify(通貨換算と為替レート)/PayPal(マーチャント手数料)

返金とチャージバックで、失う額を先に知っておく

海外の注文は、国内より返品や支払いの取り消しの対応に費用がかかります。どの決済サービスでも、返金すると受け取ったときの手数料は戻りません。

決済サービス返金したときチャージバック手数料
Shopifyペイメント決済手数料と両替手数料は戻らない。返金で両替手数料が追加でかかることはない1件1,300円。申し立てに勝つと返される
PayPal返金の手数料はかからない。受け取ったときの手数料は戻らない1件1,300円
Stripe返金の手数料はかからない(銀行振込を除く)。決済と通貨換算の手数料は戻らない申し立て1件1,500円

出典:Shopify(手数料と費用)/Shopify(日本でのShopifyペイメントの支払い)/PayPal(マーチャント手数料)/Stripe(料金体系)

PayPalのチャージバック手数料は、購入者がPayPalのアカウントではなくカードで払い、カード会社に取り消しを申し立てた場合にかかります。

5,000円の注文でチャージバックが起きると、Shopifyペイメントでは代金の5,000円が差し戻され、1,300円の手数料が加わります。最初に引かれた決済手数料も戻りません。商品を発送済みなら、商品と国際送料も失います。

日本のShopifyペイメントでは、返金やチャージバックの額は銀行口座から引き落とされません。残高がマイナスになり、次回以降の入金で相殺されます。海外の返金が続いた週は、入金が止まったように見えることがあります。入金が来ないときは、まず支払いの明細で返金とチャージバックを確かめてください。

チャージバックを減らすために、売る前にしておくこと

追跡番号が付く配送方法を選び、配達の記録を残します。申し立てに反論するときの証拠になります。返品と返金の条件は商品ページか規約に書き、購入前に読める場所に置きます。請求書や明細に出るショップ名が、ストアの名前と大きく違わないかも確認します。

決済方法は、この順番で足していく

決済方法は多いほどよいわけではありません。足すほど手数料の種類と管理する明細が増えます。注文の実績に合わせて、次の順で足していきます。

  1. カードとウォレットで売り始める

    Shopifyペイメントを有効にすれば、Visa・Mastercard・American ExpressとApple Pay・Google Pay・Shop Payがそのまま使えます。最初は円で受け取るか、外貨で表示して両替手数料を価格に含めるかを決めます。

  2. PayPalを追加する

    カード番号を入力したくない購入者の受け皿になります。Shopifyペイメントをメインにしていれば、外部サービス取引手数料はかかりません。PayPal自身の海外取引の手数料4.1%と固定手数料を、価格に見込んでおきます。

  3. 注文が多い国の現地の決済方法を足す

    欧州の購入者が増えたら、Bancontact・iDEAL | Wero・MB WAY・Przelewy24を国に合わせて有効にします。iDEAL | Weroは、Shopifyペイメントで100件以上の注文を処理してから使えます。

  4. それ以外の決済は、注文が続いてから別の決済サービスで足す

    AlipayやWeChat Payのように一覧にない決済は、別の決済サービスとの契約が必要です。Basicプランでは外部サービス取引手数料2%が重なるため、その国からの注文が続いてから検討します。

まだどの国から注文が来るか分からない段階なら、自社サイトにこだわらず、国内に送るだけで海外に売れる方法から試すこともできます。売り方ごとの手数料は、次の記事で比べています。

まとめ

越境ECの決済は、カードとウォレットとPayPalで売り始められます。手取りを大きく変えるのは決済方法の数ではなく、円と外貨のどちらで受け取るかです。

  • 決済方法はカード・ウォレット・PayPal・現地の決済方法・銀行振込の5種類で、始めるならカードとウォレットで足りる
  • 手数料は、購入者のカード会社・決済サービス・両替の3か所で引かれる。ショップが払うのは決済サービスと両替の2つ
  • 5,000円の注文で引かれる額は、Shopifyペイメントで円なら195円、ドルなら約295円。PayPalでドルを受けて円に換えると約394円
  • 外貨で受け取ると為替リスクがショップに来る。外貨のまま残高に置くと、円に換えるまでリスクが続く
  • 返金しても受け取ったときの手数料は戻らない。チャージバックはShopifyペイメントとPayPalで1,300円、Stripeで1,500円かかる
  • 日本のShopifyペイメントのJCBは国内の円の取引だけで、AlipayやWeChat Payは別の決済サービスが必要

料金と条件は2026年10月時点の公式情報です。決済サービスの料率は改定されることがあるため、契約の前に各社の料金ページで最新の内容を確認してください。